MENU
メニュー

仙腸関節、骨盤の痛みの原因と対処方法について

骨盤は2つの腸骨と、一つの仙骨がつながって輪っかを作っています。この輪を歪めるような力が働き続けると、仙腸関節に負担が加わり、痛みがでます。

痛みの場所は、背中の正中の背骨ではなく、ベルトの高さより下の骨盤部分の正中から数センチずれたところにあります。

骨盤輪を安定させるために必要な腹横筋を中心とした体幹筋のエクササイズ、下肢筋のストレッチを行いましょう。

また仙腸関節の痛みの人は、座るときに骨盤が押されて骨盤を歪める力が働くと痛みが増しますが、正座だと骨盤が床につかないので痛くありません。

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは、腰の骨が下の骨に対して前方にずれてしまい、脊柱管が狭くなって神経が圧迫されて下肢痛、しびれが生じた状態です。

症状がひどくなると、歩いていると下肢がしびれて歩けなくなり、立ち止まって前かがみになると、脊柱管が広がり、また歩けるようになるという間欠性跛行がでます。

ずれた部分がぐらつくと神経を刺激しやすくなりますので、エクササイズを行って腰椎への負担を減らしましょう。

腰椎圧迫骨折

骨粗鬆症と腰の病気で代表的なのが腰椎圧迫骨折です。

骨粗鬆症が進行すると、日常生活の中でも自然に圧迫骨折してしまう場合もあるのです。

また、中には骨折した骨が後方に飛び出し神経を圧迫する可能性がある破裂骨折に繋がるケースもみられます。

腰の痛みが強くなると寝返りや起き上がり、歩行といった動作が困難となり寝たきりになる可能性もあるため、医療機関に相談する必要があるでしょう。

 

脊柱管狭窄症

背骨や椎間関節が変形して神経の通り道である脊柱管が狭くなり、下肢に行く坐骨神経を圧迫し痛みやしびれが生じた状態です。

症状がひどくなると、歩いていると下肢がしびれて歩けなくなり、立ち止まって前かがみになることで脊柱管が少し広がり、また歩けるようになるという間欠性跛行がでます。

症状が軽いうちは前かがみの姿勢のときと同じような背骨の並び方(腰椎の後弯)をすることで症状が緩和されます。骨盤を後傾し腰椎を後弯させた姿勢を維持するためのエクササイズを行いましょう。

腰椎分離症(椎弓疲労骨折)

若い運動選手がスポーツの動作で、バッティングや、キック動作、など身体を反らして廻すような動作を繰り返すと、腰の骨の後ろにある椎弓に負荷が加わり続けて、骨の成長が妨げられ疲労骨折になってしまいます。

疲労骨折が進むと痛みが強くなり、我慢して運動を続けていると骨は分離してしまいます。これを腰椎分離症と言います。

しかし、分離してしまっても腰への負担を減らす身体の使い方をすることで痛みをなくすことはできますので、エクササイズを行いましょう。

椎間板性腰痛

椎間板は、ゼリー状の髄核を繊維輪が取り囲んでいて、ゼリーの中のプロテオグリカンが減って水分が減ってくると、衝撃を吸収する能力が落ちて、線維輪に負担がかかりすぎて損傷が起きて腰痛がでます。

椎間板への負担を減らすためには骨盤を前に傾け、圧力を減らすことが求められますので、ハムストリングスのストレッチや、体幹筋の強化を目的としたエクササイズを行いましょう。

腰痛の対処方法について

腰椎を構成している骨、椎間板(軟骨)、関節(椎間関節、仙腸関節)、筋肉に負担が加わり続けると炎症や、障害が発生して痛みを出すようになります。

地球上で二足歩行を行うだけでも腰椎には負担が加わり、痛みが出るため、腰痛は人類の宿命とも言われます。

腰が痛くなったということは、自分の体の何らかの機能が低下しているということです。例えば筋肉が硬いことで体の動きが悪くなり、腰に負担がかかって痛みが出ることがあります。

あるいは腰の骨の周りの筋肉(体幹筋)がきちんと働いていないために、腰の関節や筋肉に負担がかかって痛みが出たりします。

腰痛には様々な原因(病態)があり、その程度は人によって様々です。あなたの腰痛の病態や重症度によって最適な対処方法があります。まずは適切に評価して、自分にあった最適なエクササイズを行いましょう。

エクササイズをすることによって自分の身体の機能を高めていくことで腰痛から解放されていきます。つまり腰に痛みがあるということは、自分の身体の機能を見直して改善する絶好のチャンスなのです。痛みが出た時にこそ、自分の身体の使い方を見直しましょう。

身体の機能には、筋力・柔軟性・協調性(筋肉の使い方、モーターコントロール)という三つの機能があります。筋肉の力(筋力)を強くするためには、筋肉トレーニングが必要です。

👉【10種目】腰痛改善に効果的な筋トレメニュー│筋トレで腰痛になる原因も

筋肉の強い収縮を繰り返すことで、筋力は強くなります。体幹のインナーマッスルは普段から使っていないと衰えてしまうので、普段からそれを使うことは腰痛に対してとても大切です。

二つ目の機能に柔軟性があります。”関節の柔らかさ”と言ってもいいです。関節を柔らかくするためには、関節の周りについているアウターマッスルを伸ばすことが必要です。

例えば股関節の動きを大きくするためには、大腰筋(だいようきん)、大腿直筋(だいたいちょっきん)やハムストリングスという筋肉を伸ばす必要があります。

このように筋肉を伸ばすことをストレッチと呼びます。筋肉トレーニングとストレッチは大きく違うことを知っておいてください。

三つ目の機能である協調性(モーターコントロール)とは、筋肉の使い方や使う順番が正しく行われているかどうかの機能です。インナーマッスルを先に使った後にアウターマッスルを使うのが、正しいモーターコントロールのやり方です。

これらの3つの機能がそろうことで腰痛を予防することができますし、アスリートは競技パフォーマンスを高めることができます。

また腰の周囲にある股関節や胸椎の動きを抑止、体幹筋を適切に使った動作を習得することによって痛みが起きる不適切な動きを減らすことができ、腰痛を予防することができます。

自分の身体の不適切な動きを見つけて、最適な対処をおこって腰痛とおさらばしましょう。

しかし腰痛には様々な原因がありますが、その程度が軽かったり、複雑に影響しあっている場合にはその原因を特定することができないことがあります。

その様な場合でも、症状の変化によって特定できる場合があります。とりあえず多くの腰痛病態に有効である、体幹筋群のエクササイズやストレッチを行いながら症状の変化を観察して行きましょう。次回の評価のときに病態が明らかになれば、あなたの病態に適したエクササイズが提示できます。

参考:腰痛 日本整形外科学会

著者情報

金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD
金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD

早稲田大学スポーツ科学学術院教授

日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄病医

日本スポーツ協会認定スポーツドクター

日本水泳連盟理事・医事委員長 ほか

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator