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ぎっくり腰や脊柱管狭窄症などの腰痛がひどくて歩くのがつらい、歩く時にフラついてしまう…。そのような悩みはありませんか?腰痛で歩行に影響が出ている場合は、杖を使うことで腰への負担を軽減できる可能性があります。今回は、腰痛向けの杖の選び方や使い方を解説します。

腰痛に杖は必要?腰痛に悩む人が杖を使うメリット

杖というと、一般的に足を怪我した人や足腰が弱った人が使用するイメージがあるかもしれません。しかし、杖は腰痛に悩む人にもおすすめのアイテムです。腰痛に悩む人が杖を使うことで以下のようなメリットがあります。

●腰にかかる負担を軽減できる
●歩行が安定する
●周りの人への周知

歩行時には無意識に腰の筋肉を使い、さらに上半身の体重も腰へとかかってきます。歩くという行為自体が腰へと負担をかけ、余計に腰痛を悪化させているのです。杖を上手に使うことで腰にかかる負担を軽減できるだけでなく、歩行も安定します。

杖の種類とそれぞれの特徴

自分に合った杖を選ぶためには、まずは杖にどのような種類があるのかを知る必要があります。今回は代表的な4種類の杖とその特徴を紹介します。

T字杖

T字杖とは、まっすぐな1本の脚にグリップがついている杖のことです。杖と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのがこのT字杖でしょう。シンプルな形状で初めて杖を使う人でも安心です。
T字杖はグリップの形によって「T字型」や「L字型」などに分類されます。さらに、脚が1本の「一本杖」、伸縮機能のある「伸縮式」、折り畳める「折り畳み式」などのタイプがあります。
ロフストランド杖
ロフストランド杖とは、グリップとは別に上部に前腕を通す輪(カフ)がある杖のことです。グリップカフの2カ所で体を支えるため、T字杖よりも安定感があります。握力がなくても使いやすいため、骨折後や麻痺のある人に適しています。

多脚杖

多脚杖とは、脚が3本ないし4本に分かれている杖のことです。体を支えるポイントが多い分、安定性が高いのが特徴です。平坦な場所では使いやすいものの、階段や段差がある場所では転倒のリスクが高く注意が必要です。

松葉杖

骨折や捻挫の後に使用することが多い松葉杖。松葉杖とは、杖の持ち手側が松葉のように二股に分かれている杖のことです。他の杖と比較すると、下半身にかかる負担を大幅に減らすことができます。

腰痛向けの杖の選び方

続いては、腰痛向けの杖の選び方について解説していきます。杖を適当に選んでしまうと、かえって腰痛が悪化することがあるため注意しましょう。

腰痛の度合いや体力に合わせて選ぶ

腰痛向けの杖を選ぶ際、最も重要なのは腰痛の度合いや自分の体力に合った杖を選ぶことです。軽度の腰痛かつ握力がある人は、指で握りやすいT字杖をおすすめします。握力や腕の力が弱い人はロフストランド杖を検討すると良いかもしれません。
急性の腰痛で歩行が困難な場合は、松葉杖を検討することもあります。関節リウマチやなどの関節疾患合併患者には、多脚杖を用いることが多いです。いずれの場合も医師や理学療法士に相談の上、自分に合う杖を見つけることが望ましいでしょう。

適切な長さの杖を選ぶ

杖を選ぶ際、必ず確認してほしいのが杖の長さです。丈が短すぎる、もしくは長すぎる杖を使っていると腰痛が悪化するだけでなく、転倒事故につながる可能性もあります。
腰に負担を掛けない杖を選ぶためには、自分の身長に合った杖を選ぶ必要があります。適切な杖の長さは「身長÷2+3」で導き出せます。

例:身長160cmの人の場合…
160÷2+3=83→適切な杖の長さは83cm

となります。計算式から導かれた長さはあくまでも目安です。計算式だけでなく、実際に使い心地を試してから購入することをおすすめします。

長さを調節できるかで選ぶ

杖をより長く、快適に使いたいなら長さを調節できるタイプの杖がおすすめです。背中が丸まってきた場合、今までと同じ長さの杖では快適に歩行ができません。長さを調節できないタイプの杖だと買い替えが必要となってしまいます。

杖の重さで選ぶ

杖の長さと同じくらい重要なのが杖の重さと重心です。杖が重いと疲れてしまいますし、客に軽すぎると安定感に欠けます。おすすめの杖の重さは200~500gです。店頭で実際に手に取って選ぶことをおすすめします。

杖の素材で選ぶ

一言に杖といっても、使用している素材はさまざまです。杖の主な素材とその特色を紹介します。
・アルミ製…手頃で腐食しにくい
・木製…色合いや木目が美しい、長さ調節ができないのがデメリット
・カーボンファイバー製…軽量で強度もある、高価な点がデメリット
最も多く見かけるのがアルミ製の杖です。アルミは加工しやすく、さらに腐食しにくいため杖に向いています。どの素材が良いということはなく、自分に合った素材の杖を見つけることが大切です。

握りやすいグリップの杖を選ぶ

続いての選び方のポイントはグリップ(握り手)です。自分の手の大きさや握力に合ったグリップを選びましょう。グリップにはT字型やL字型があり、素材も商品によって異なります。
グリップに滑り止めがついているかも必ずチェックしてください。滑り止めがついているとしっかりと握れるため、転倒リスクも軽減できます。

SGマークがついている杖を選ぶ

SGマークとは、製品安全協会が安全な製品だと認証したことを示すマークです。SGマークがついている杖は強度などの試験をクリアしており、安全性の高い杖です。また、SGマークのついた製品を使って人身事故が起きた場合は、最高一億円までの賠償措置を講じることが決まっています。*
旅行用なら携帯できる杖を選ぶ
普段は杖を使わないものの、旅行などに出掛けた際だけ杖を使いたい人もいるでしょう。そのような場合は、軽くてコンパクトに折りたたみできる杖をおすすめします。携帯できる杖はあくまでも携帯用です。使用する頻度が高い場合は、通常の杖を選ぶことをおすすめします。

腰痛に悩む人必見!杖の正しい使い方

杖を使った歩行方法には「3動作歩行」と「2動作歩行」の2種類があります。最後に、意外と知られていない杖の正しい使い方を解説していきます。

初心者におすすめの「3動作歩行」

最初に紹介するのは、初めて杖を使う人にもおすすめの3動作歩行です。杖を出す→痛いほうの足を出す→もう片方の足を出すという3つの動作を繰り返します。

1. 痛みのない足側の手で杖を持つ
2. 両足を揃えた状態で杖を前方に出す
3. 痛いほうの足を一歩前に出す
4. 続いて、痛みのないほうの足を前に出す
5. 2~4の動作を繰り返す

以上が3動作歩行の基本的な方法です。歩行スペースはゆっくりですが、非常に安定感があります。足に痛みがない、もしくは両方同じくらいいたい場合はどちらの足からスタートしても問題ありません。
少し慣れてきたら「2動作歩行」
杖を使った歩行に慣れてきたら、2動作歩行に挑戦してみても良いかもしれません。2動作歩行の方法は以下の通りです。

1. 痛みのない足側の手で杖を持つ
2. 杖を前方に出しながら、痛みのあるほうの足を一歩前に出す
3. 後ろに残った足を、杖と痛みのあるほうの足に揃える

2動作歩行と比較すると、3動作歩行は歩行スピードが早いのが魅力です。最初から無理をして2動作歩行を行うと、転倒やかえって腰を痛める可能性があるためくれぐれも注意しましょう。
杖を上手に活用して腰への負担をやわらげよう

今回は、腰痛向けの杖の選び方や使い方を解説してきました。一見あまり関係なさそうに思える腰痛と杖。しかし、歩行時には腰にも大きな負担がかかっています。杖を上手に活用することで、歩行時の腰への負担を減らし、さらに歩行を安定させることができます。
腰痛に悩んでいる人は腰痛体操などのストレッチや筋トレを、病院を受診することで学びましょう。また、杖を上手に活用して、少しでも快適な生活を送りましょう。

参考URL
一般社団法人 製品安全協会|よくある質問

著者情報

腰痛メディア編集部
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