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直立二足歩行である私達人間の宿命ともいうべき腰痛は、非常に厄介なものです。なぜなら、腰は私達の体のほぼ中心に位置しており、上半身を支え、下半身を動かすために日夜バランスを取っていなければならないからです。腰はまさに、体の「要」なのです。

皆さんは腰痛になったら、どうしますか?急な腰痛を発症すると、動くことが困難になりますので、まずは安静というのが従来の対処方法でした。もちろん、安静という対処法は大切ですが、近年では、体を治療するための施設―整体院、整形外科、整骨院・・・様々な選択肢が増えてきています。

今回は、「整骨院」での腰痛の治療方法についてご紹介していきます。

整骨院・接骨院とは

整骨院とは「接骨院」や「ほねつぎ」とも呼ばれる場所で、基本的に「柔道整復師」と呼ばれる国家資格の保持者が施術を行う場所です。

整骨院は病院と同じように国民健康保険・社会保険・組合保険・老人医療保険・労災保険や生活保護・母子家庭等医療費助成制度・乳幼児医療費助成制度、さらに交通事故に遭った場合などは自賠責保険を利用することができますよ。健康保険を利用した場合は急性期のケガの他に捻挫や打撲、さらには骨折や脱臼の応急処置などを行ってもらうことが可能となっています。また、医師の同意がある場合は骨折や脱臼の経過を診てもらうことも。

もちろん腰痛に対する治療も保険適用内で診てもらうことができますよ。腰痛の他にぎっくり腰や肉離れ、靭帯損傷など日常生活やスポーツなどで起きた急性の痛みを施術のみで軽減させることが可能です。

また交通事故に引き起こされたむちうちや腰痛などは頚椎・腰椎損傷にあたるため、窓口負担なしの自賠責保険が適用されることが多いようです。

整骨院でできること

整骨院では柔道整復師が、腰痛などの症状に対してマッサージなどの施術を行います。基本的に「医療行為」と呼ばれるものは行うことができませんが、上記したように医師の同意がある場合は骨折や脱臼の治療を受けられるようになります。

この場合骨を正常な位置に戻す「整復」を行いますが、注射・薬の投与・レントゲンなどは行うことができません。

腰痛や肩こりなどの症状が急性期の場合、「RICE処置」と呼ばれる応急処置が施されることが多いです。RICE処置とは、以下の頭文字をとったものです。

Rest:安静
Icing:氷で冷やす
Compression:圧迫
Elevation:挙上

急性期の痛みが落ち着いたら、温熱療法や電気療法などの物理療法・手技療法・運動療法などに切り替えていきます。これらの治療を行う場合も引き続き保険を使うことが可能ですが、腰痛や肩こりを含む原因不明の慢性的な痛みが継続する場合は保険適用外となることもあるので注意が必要です。

どのような症状が健康保険適用内で診てもらえる?

整骨院は病院ではないため、健康保険が適用される症状は法律において細かく定められています。一般的に対象となるのは骨折・不全骨折・脱臼・捻挫、打撲、挫傷のみとなっていますが、腰痛やぎっくり腰は捻挫として扱われる場合もあるので確認が必要です。

健康保険適用内の症状の中でも、骨折や脱臼は医師の同意が必要となる場合が多いです。一方で捻挫・打撲・挫傷には医師の同意は必要ありませんが、施術が長期になった場合や一度に施術する部位が多い場合はその理由を書面で説明する必要があります。

一方で、日常生活の疲れやストレスなどからくる慢性的な腰痛や肩こりの場合は全額自己負担で施術を受けなければなりません。また、腰痛を楽にするためのマッサージを行ってもらう場合も自己負担になることがほとんどです。

整骨院ではどのような人が働いている?

整骨院において腰痛などに施術を行うのは「柔道整復師」と呼ばれる国家資格を持った者です。では、柔道整復師とはどのような資格なのでしょうか?

柔道整復師

柔道整復師はケガなどに対し、柔道整復術を使用して治療を行うことができる国家資格の1つです。名前だけではどのような仕事をしているのかあまり見当がつかないかもしれませんが、柔道整復師は以下の3つの方法を使用しながら腰痛などを引き起こす筋肉・骨・靭帯の損傷を治療していきます。

1.整復:骨折や脱臼した箇所を元の正しい場所に戻す治療法
2.固定:脱臼や骨折などをした場合に包帯やテーピングなどを用いて患部を固定する治療法
3.後療法:物理療法や運動療法を用いて、長期的に患部の回復を図るための治療法

柔道整復師は整骨院や整体院だけでなく、現在医療施設や介護施設などさまざまな場所で活躍しています。また、資格を活かしてスポーツトレーナーや介護福祉分野における機能訓練指導員としても従事することができますよ。

柔道整復師と似たような職業に同じく国家資格である理学療法士があるが、この2つの職業の大きな違いは「開業ができるかどうか」です。理学療法士は基本的には開業資格を持っていませんが、柔道整復師であればなんと開業することが可能となっています。そのため、自身の整骨院を運営していくこともできるのです。

柔道整復師になるためには、大学や専門学校などで3年以上の教育を受けた後に国家試験に合格する必要があります。学校では解剖学や生理学などを通して身体の仕組みをしっかり学ぶとともに、外科学などを受講してケガの種類や対処法なども学びます。

在学中にはさまざまな実習先で実習することが可能なため、将来どのような場所で働きたいかをイメージすることができるところもポイント。
国家試験は毎年1回3月に行われており、合格率は毎年60%前後となっています。そのため、しっかりと対策をしておけば合格することができると言われていますよ。

柔道整復師の資格を持っている方は現在増加傾向にありますが、整骨院や病院などに留まらず活躍できる場も増えてきているので非常に需要が高い職業であると言えるでしょう。

腰痛の治療方法

腰痛のある男性の画像

「腰痛」といってもその8割が原因不明とされています。姿勢の悪さから来る腰への負担だったり、腰以外の怪我や病気、生活習慣からくる腰への負担、精神的ストレスからくる腰への負担など、いわゆる、病院に行ってもレントゲンに何も映らない症状に苦しむ人はたくさんいます。こうした人々が次に頼るのが整骨院です。

従来の整骨院では、急性期には炎症を抑えるためのアイシングをし、慢性期に入ったら温熱療法を始めながら電気を当てて血流を促進し、筋肉をほぐして痛みを除去するという手技が、治療の代表格でした。

しかし近年では、これらの治療に加えて、なぜ腰痛になったのか?本当に腰が悪いのか?他に原因があるのではないか?といった本質的な部分を究明し、根本原因を突き止めてそこから治していくというやり方が主流となってきています。では、主流な治療方法について見ていきます。

骨盤矯正

近年では、これを取り入れていない整骨院の方が少ないのではないか、というくらい、どの整骨院でも取り入れているメジャーな治療方法です。

私達の、座ったり立ったり動いたりといった毎日の生活の中で、動きの要となるのは腰部とそれを支えている骨盤です。この骨盤がずれたり歪んだりすることで、上半身にも下半身にも様々な悪い影響が出てきます。腰痛で整骨院を訪れると、柔道整復師が体について問診と検査を丹念に行い、姿勢の歪みや骨盤のずれなどを見極めていきます。

そしてそのずれを元に戻す治療をしていくと、体の機能も正常に戻って腰痛やその他の症状も改善されるということから、骨盤矯正がメジャーになったとも言えます。

少し前までの骨盤矯正は、バキッボキッっといった体に力をかけて矯正する手法がメジャーでしたが、最近では、骨盤矯正専用のトムソンベッドを使用して、患者さんの体に負担をかけずに骨格を矯正する治療院も増えてきていますので、これからに期待が持てます。

電気療法

整骨院に行くとまず見るのがこの電気療法です。種類は低周波・中周波・高周波とあり、症状によって使い分ける所もあるようです。この電気療法は基本的に、体に微弱電流を通して血流を促進させることで硬くなった組織を正常化する目的で行われるので、昔も今も有効と言えます。

例えは良くないかもしれませんが、トイレのすっぽんのような形の吸盤を体に取り付けて電気を流します。機械の種類、コースによって何とも言えない機械音が流れ、それが電気の気持ちよさと相まって心地よい眠気を誘うこともあります。

筋肉へのアプローチ

電気療法が終わると多くの場合、徒手によって筋肉へのアプローチが行われます。時間にしておおよそ15分程度です。按摩マッサージ指圧師が行うことのできるマッサージと似たようなものですが、これは治療院によってやり方が最も分かれるところでもあります。

全員が解剖学や生理学、運動学、リハビリ学など多岐に渡る内容を習得したエキスパートですので、院によって、または個人によってどのようなアプローチをするかが違ってくるのです。しかし目指すところは同じで、硬くなった筋肉を効率よくほぐすことで血流を改善し、組織を正常化し痛みを除去するということを目的に施術を行います。

EMSトレーニング

これはまだ取り入れている整骨院が多くありませんが、効果が高い治療として取り入れられつつあります。EMSとは、Electrical Muscle Stimulation=筋電気刺激の略で、特殊な電気刺激によって筋肉を他動的にトレーニングしてくれるものです。

低負荷で体の深層に位置する筋肉にアプロ―チし鍛えてくれるので、インナーマッスルを鍛えて腰痛を改善したり、さらに筋力をつけることで腰痛を予防することも可能になります。年配者でも体の弱い人でも寝ているだけでこのトレーニングを受けることができるので、こちらもこれから期待できる治療法になります。

まとめ

ここまで、整骨院での主な腰痛治療法をご紹介してきました。もちろん、これだけではなく、もっと様々な機器や手法を用いて、患者さんの苦しみを除去していこうという試みをしている整骨院も数多く存在します。

腰痛になった時に、どこの整骨院が自分に合うのかを探す余裕はありません。いざ困った時にすぐに診てもらえるように、普段から自分に合いそうな整骨院をピックアップしておくのもよいでしょう。

参考文献
公益社団法人日本整形外科学会HP
急性腰痛における接骨院の位置付けと施術の効果

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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