猫背は腰痛や肩こりを始め、頭痛や吐き気、めまいなどの症状を引き起こす原因となります。うつとも深い関係と唱える医者もいます。
また、直接的な症状以外にも、実年齢よりも老けている印象になるといったデメリットがあります。
そうやって聞くと、早く治したい!と思うでしょう。残念ながら、猫背は今すぐパッと治る方法はありません。
しかし、日頃の小さな積み重ねでできた猫背は、日頃の小さな積み重ねで改善できます。
今回の記事では、猫背の治し方について、ストレッチ・筋トレ・日常的にできることについて紹介します。
続けていれば猫背の悩みも緩和されているでしょう。
目次
簡単!猫背かどうか自分でチェックする方法
「猫背は体に良くない」ということは知っていても、「そもそも自分が猫背なのかどうかよく分からない」という人は意外に多いでしょう。実際、自分自身が猫背であることを自覚している人は、決して多くはありません。そこでまずは、ご自身が猫背なのかどうかを簡単にセルフチェックできる方法をご紹介しましょう。
1. 壁の前に立つ
2. 背中を壁につける
3. 頭・お尻・かかとの3点を壁につける
やるべきことは、たったこれだけです。これなら思い立った時にすぐにチェックできることでしょう。ポイントは、あごをしっかりと引くことです。なるべく普段通りの立ち姿勢を意識してください。「良い姿勢をとろう」と必要以上に意識してはいけません。
頭・お尻・かかとの3点を壁につける時に少し力が入るかもしれませんが、3点が壁についたら少し力を抜いてリラックスした状態になります。その際、頭とお尻の動きによって猫背かどうかを判断できます。
・頭が壁から離れた
・お尻が壁から離れた
もし頭かお尻のどちらかが壁から離れてしまったら、猫背である可能性が極めて高いと言えます。また、頭とお尻は壁にくっついているものの、どちらかを離した方が楽だという人も、今後猫背になる可能性があります。
猫背になる原因は生活習慣にあり!
猫背は現代社会と密接に関係しており、一昔前に比べると、猫背に悩む人の数は増えていると言われています。そこでここでは、猫背を引き起こす主な原因を3つに分けてご紹介しましょう。
猫背の原因 1:パソコンやスマホの長時間使用
パソコンやスマホはいまや私たちとは切っても切り離せない関係にあり、「ずっとスマホをしていた」という経験のある人も多いのではないしょうか?
例えばパソコン仕事をする場合、キーボードやマウスを操作するために両肩が前方に丸まってしまうケースが多く見られます。時々意識して正しい姿勢を取ったとしても、また時間が経てば肩が丸まった状態になっていることでしょう。
また、スマホを操作する場合、私たちの首は常に下に曲がっている状態にあります。頭の重さは一般的に10kg近くあるとも言われていますので、その重さを支えるために背骨は不自然なカーブを描くことでバランスを保とうとするのです。
このようにパソコンやスマホを長時間使用すると、不自然な姿勢が定着してしまい、結果として猫背を引き起こします。とは言え、パソコンやスマホを一切使用しないというのは難しいと思いますので、まずは定期的にストレッチを行うことを意識してください。
猫背の原因 2:骨盤が倒れている
長時間椅子に腰かけていると、ついつい背もたれと腰の間に大きなスペースが生まれてしまいます。よく「腰が落ちている」と表現されますが、特に家でリラックスしている時には、気が付いたらこうした姿勢になっている人も多いことでしょう。
本来、骨盤は座っている時もまっすぐ立っているのが理想です。しかし、こうして骨盤が倒れてしまうと首や肩甲骨までも前に出てしまい、結果として猫背を引き起こす大きな原因となります。
実際こうした姿勢を楽に感じる人は多いのですが、骨盤周辺の筋肉が凝ることで体のさまざまな不調を引き起こします。そのため日頃から骨盤の角度を意識し、骨盤が無意識に倒れないよう十分に注意する必要があります。
猫背の原因 3:座っている時に足を組む
座っている時に無意識に脚を組む人は多いですが、脚を組むと骨盤のバランスが崩れてしまい、猫背を引き起こす原因となります。特に、いつも決まった足を上にするという人は、骨盤のバランスが崩れ、右足と左足の長さが違っているというケースも珍しくありません。
椅子に腰かける際は、膝を直角に曲げ、足の裏で体重の一部を支えるようなイメージを持ってください。脚を組むのが癖になっている人は、紐などで両膝を結ぶという方法も効果的です。
猫背だと腰痛になりやすい理由
「猫背は体全体の不調を引き起こす」と言われますが、当然腰痛も例外ではありません。ここからは、猫背になるとどうして腰痛を発症しやすくなるのか、そのメカニズムを解説していきましょう。
腰の筋肉や靭帯に負荷がかかる
私たちの背骨には、大きく分けて頚椎、胸椎、腰椎という3つのパートが存在します。この3つはゆるやかなS字カーブを描くことで互いにバランスを取り合い、体全体の重みを上手に分散させています。
しかし、猫背になると腰椎の湾曲が強くなってしまい、必要以上の負担がかかることで腰の筋肉や靭帯を痛めてしまいます。この3つのパートのバランスが崩れると頭が前に出た状態にもなりますので、首や肩の筋肉も凝りやすくなると言えるでしょう。
自律神経が圧迫される
背骨の中には、体の動きをコントロールしたり体内環境を整えたりする自律神経が走っています。長時間猫背でいると、この自律神経を圧迫しやすくなり、神経性の腰痛を引き起こすというケースが少なくありません。
腰周辺にピリッと刺激のある痛みを感じる人は、こうした神経性の腰痛のリスクが非常に高いと言えます。重症化しないよう、早めに医師を受診してください。
椅子さえあればどこでもできる!猫背改善に効果的なストレッチ法
「猫背を改善するのは大変そう」と感じる人も多いようですが、日常のちょっとした工夫で猫背を改善することは決して不可能ではありません。ここでは特に手軽なストレッチ法をご紹介しますので、ぜひ日常のルーティンとして取り入れてみてください。
【ステップ1】
1. 椅子に深く座り、あごを引く。
2. 頭を少し前に倒しながら両手を前に伸ばす。
まずは肩甲骨周辺の凝りを取るストレッチです。頭だけお辞儀をするようなイメージで、この姿勢を10秒ほどキープします。その際、肘が下がらないように注意してください。
【ステップ2】
1. ステップ1の状態から顔を起こし、肘を曲げる。
2. 肩の高さを意識しながら、肘をできるだけ後ろに反らす。
続いて、肩周辺や背骨の筋肉をほぐすストレッチです。こちらも肘が下がらないように注意しながら、10秒間キープしてください。
【ステップ3】
1. ステップ2の状態から、肘から手のひらを真っすぐに立てる。
肩周辺の可動域を広げるストレッチです。こちらも肘の高さに気を付けながら、10秒間キープしてください。
ステップ1からステップ3まで全部やっても、たったの30秒で完結するストレッチです。デスクにいても簡単に実践できますので、1日3回ほど、可能であれば1時間に1回程度行うようにしてください。
一度猫背になると腹筋や背筋が衰え、背骨にどんどん負担がかかってしまいます。
ストレッチを活用した猫背の治し方
猫背は腰痛だけでなく、体全体の不調をきたす厄介な存在です。できるだけ早く猫背を改善して、腰痛を心配することのない自由な暮らしを手に入れましょう。
ストレッチは腰や背中が伸ばされて、気持ち良くできる猫背の治し方です。猫背で凝り固まった筋肉をほぐしましょう。
コブラストレッチ
背筋を反るような姿勢を維持して、腰や背中を伸ばすコブラストレッチ(画像参照)。
背中の引き締め、そして姿勢改善の効果が期待できます。
- うつ伏せになり、足を腰幅くらいにひらく
- 足の甲を床につけ、両手を使って息をゆっくり吸いながらゆっくり上体を持ち上げていく
- 上げ切ったら2~3呼吸ほど維持し、ゆっくりうつぶせの状態に戻る
ただし、腰を痛めている人はおすすめできません。それから、上半身を持ち上げる際に違和感を感じるようであれば、すぐに中断してください。
タオルの上に仰向けになるストレッチ
筋肉をほぐして猫背の予防や改善ができるストレッチです。
タオルを用意するだけで簡単にできます。
- バスタオル2~3枚重ねて筒状にする(気持ち良いと思える厚みに調整する)
- 肩甲骨の部分にタオルがくるように仰向けになる
- 仰向けの状態でバンザイの態勢になる(アゴを引くように意識する)
- ゆっくり呼吸をしながら1~2分キープする
慣れないうちは無理せず、痛みを感じたら1分以内でもゆっくり姿勢を戻してください。
体が慣れてきたら少しずつ時間を増やしましょう。
キャット&ドッグストレッチ
背中の筋肉を伸ばしつつ猫背の改善効果も期待できるストレッチです。
- 四つん這いの姿勢になる(手は肩から真っすぐの位置、ヒザは股関節の下に置く)
- ゆっくり背中を丸めていく(おへそを見るように意識する)
- ゆっくり四つん這いの姿勢に戻す
- 今度は背中を反らせる(お尻を天井に向けるように意識する)
呼吸を意識して行うのがポイントです。②~④を5回繰り返すのを1セットとして行ってください。
目安は1セット1分くらいです。
筋トレを活用した猫背の治し方
筋肉をつけることで正しい姿勢を維持しやすくなります。つまり、筋トレは土台作りのようなものです。
土台をしっかり固めることで、猫背を治していきましょう。
ドローイン
腹筋周りにあるインナーマッスル(体の奥にある筋肉)に適度に負荷をかけて、姿勢を維持する筋肉を鍛えます。
ドローインは立っている状態でも寝ている状態でもでき、やり方も簡単なのでどこでもできる筋トレです。
また、お腹を引き締める効果もあるため、ダイエットをしたい人にもおすすめです。
【寝た状態のやり方】
- 仰向けになって、膝を90度曲げる
- ゆっくり息を吸い、お腹をできるだけ膨らませる
ゆっくり息を吐きながら、お腹をゆっくりへこませていく
- 息を吐き切って、お腹をできるだけへこませたら、その状態を維持しながら浅く呼吸する
- 10秒~30秒維持して、ゆっくり元に戻す
【立った状態のやり方】
- 背筋をピンと伸ばし、胸を張る
- 肩幅くらいに足を開く
- 姿勢はそのままに、ゆっくり息を吐きながら下腹部をへこませていく
- お腹がへこんだら、その状態を維持しつつ浅く呼吸する
- 10秒~30秒維持して、ゆっくり元に戻す
これを1セットとして、慣れてきたら回数を増やしていきましょう。
ドローインをする時は、お腹に手を当てて動きをチェックしながらやると、より腹筋を意識しやすくなりますよ。
バックエクステンション
バックエクステンションは脊柱起立筋を鍛えられる筋トレです。脊柱起立筋を鍛えることは、正しい姿勢を維持するために効果的だと言われています。
やり方も簡単で、普段運動しない人でも楽に挑戦できます。
- うつ伏せに寝る
- 両手を頭の後ろで組み、足を肩幅くらいに開く
- 胸と足を浮かせる(お腹だけで体を支えるイメージ)
- ゆっくり息を吐きながらこの状態を3秒ほど維持する
- ゆっくり元に戻す
これを10分くらい繰り返しましょう。
胸と足を浮かせる際、腰を反らしすぎると痛めてしまう恐れがあります。無理ない範囲で行い、痛みを感じたらただちに中止してください。
バックエクステンションというと、ローマンベンチという機器を使うやり方もありますが、普段運動しない人や腰痛のある人はおすすめしません。
腰に負担をかかり過ぎてしまい、腰痛発症・悪化の原因になることがあります。
プランク
運動が苦手という人でも挑戦しやすく、手軽に全身を鍛えられるのがプランクです。
- 肘を90度曲げ、うつ伏せで腰あたりまで床に付けた姿勢を取る
- 腹筋、背筋、足全体に力を入れまっすぐな状態になる
- 30秒~1分間その状態を維持する
これだけです。
注意するべきポイントは、横から見てかかと部分と肩の部分まで、ピンとまっすぐな姿勢になること。
慣れない内は、お尻が少し上がってしまったり、腰が床に近くなりすぎて姿勢が崩れてしまう場合があります。それだと、全身がしっかり鍛えられません。
できることなら、横に全身が見える鏡を置いたり、誰かにチェックしてもらったり、携帯で撮影したり、姿勢をチェックしながら挑戦してみてください。
日常生活
猫背を根本的に改善するためには、日常的に意識することが大事です。
スマホを目と同じ高さで使用する
スマホを使っている人をよく見てください。うつむいた状態で操作している人が非常に多いです。
日常的にその姿勢でいると、猫背だけでなくストレートネックの原因になります。
うつむいた状態になってしまうのは、スマホの位置が低いからです。スマホを目と同じくらいに上げて、使ってみてください。
そうすることで猫背になってしまうのを予防します。
最初は違和感があるかもしれませんが、しばらくやっているとなれますので、ぜひ続けてください。
人がいる方向にスマホのカメラを向けないように注意してください。撮影していると勘違いして、トラブルに発展する恐れがあります。
矯正ベルトに補助してもらう
矯正ベルトを装着していると、違和感があるため姿勢が崩れるのを防いだり、正しい姿勢を意識するための役に立ちます。
ただし、猫背を治すためのアイテムとしてではなく、あくまで補助的な役割として考えてください。
最初は意識的に正しい姿勢を維持していたとしても、ずっと続けることで無意識にできるようになります。
色々な種類があり、合う合わないもあるのでいくつか使って試してみた方がいいかもしれません。
壁を使って定期的に姿勢を正す
猫背の人は無意識に姿勢が崩れてしまうものです。
壁を使って定期的に姿勢をチェックして、正すように意識してください。やり方は簡単です。
壁に後頭部・肩甲骨・お尻・かかとを全部つけてください。上から糸で引っ張られているのをイメージすると、姿勢を維持しやすくなります。
その状態を維持したままできるだけ過ごしてください。
最初の内はこまめに正す必要があると思いますが、続けていくことで無意識にも良い姿勢を維持できるようになるでしょう。
まとめ
ストレッチでほぐし、筋トレで猫背にならない土台を作り、日常的に意識することで予防する。
この3つの柱で猫背を改善させることで、美しい姿勢を体に定着させられます。
今回の記事で紹介していることは、どれも簡単なものばかりなので、取り組みやすく続けやすいです。毎日続けて、猫背に悩まされる日々とさよならしましょう。
◆参考資料
・かんたん猫背の治し方。 原因~改善方法(筋トレ&ストレッチ)の全てを学ぶ!|Bauhutte
・腰痛や肩こり、実は猫背が原因かも!?|トレーニング|あいメディア
・猫背がまねく腰痛について|TENTIAL
・11月:「腰痛をまねく猫背」|Dr.石川の健康コラム|けんぽれん
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