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日常生活のなかで急に「ズキッと痛い」腰痛を起こしたことはありませんか?
こういう場合、実は身体を反らして起きている腰痛の可能性があります。
日常の動作のなかで腰痛が起こるきっかけのひとつに「上体を反らす動作」があります。
ここでは、上体を反らして起こす腰痛について説明していきます。

日常生活のなかでの「上体を反らす動作」

日常生活ではどういう時に「上体を反らして」いるのでしょうか。
日常生活のなかで、腰痛を起こす動作として多いのが「前かがみになった時」ですが「上体を反らした時」にも腰痛が発生しています日常生活のなかでどういう時に「上体を反らす動作」を行っているのか意外と意識出来ていないことが多いです。
そこでどのような時に「上体を反らす動作」をするのか、以下にまとめてみました。

背伸び・あくび

背伸びは背筋を伸ばす時にする動きなので、意識して上体を反らしています。
あくびでは身体を曲げる時と伸ばす時がありますが、顎を上げる動きだけでも、腰が伸びています。

手を伸ばす

高いところにあるものを取ろうとして手を伸ばした時や、狭い隙間に手を伸ばして物を取ろうとする時は、上体を反らした形になっています。

立ち上がる時

草取りなどでしゃがんでいる状態から立ち上がる時や椅子から立ち上がる時にも上体を反らすことがあります。

車の運転中

運転中に後ろを確認する時、バックする時に後ろを振り返っている時には上体を反らしています。

自転車に乗る時降りる時

自転車に乗る時や降りる時の動作は、上体を反らしています。

子供を抱き上げる時

赤ちゃんや小さい子供を抱き上げる時には、腰が反った状態になります。

重い荷物の移動

水や灯油缶、買い物した荷物など少し重いものを持つ時ときに上体を反らした動作になります。

家事

掃除機をかける時や、洗濯物を干す時取り込む時、布団を畳む時やベッドメイキングでも
上体を反らす動作があります。

日常生活のなかでは些細なものを含めると上体を反らす動作はしょっちゅう行っています。
その積み重ねやちょっとした油断で、腰痛を起こしてしまうのです。

スポーツやトレーニングをする時には上体を反らす動作はよく分かると思います。
サッカーでボールを蹴る時、バスケットボールでシュートを打つ時、またバレーボールやハンドボールなどの球技もそうですが、走り幅跳びやハイジャンプ、マリンスポーツなど様々なスポーツで上体を反らす動作をしています。

👉サッカーによる腰痛になる原因と対策方法【適切なトレーニングを行えば必ず治ります】

上体を反らした時の腰痛ってどんなもの?

上体を反らした時、腰椎では前方が開き、後方が狭くなります。
腰椎の前方には「椎体」という太い骨があります。その椎体と椎体の間に「椎間板」というクッションがあります。この椎間板のクッション性により、骨と骨が当たらない構造になっています。
そして腰椎の後方には「脊柱管」と呼ばれる神経が通っている隙間があります。その後ろの左右に「椎間関節」があります。
上体を反らした時の腰痛は、この脊椎の後方のどこかに障害が起きることで発生します。この時に起きていると考えられる障害は以下の3つになります。

脊柱管狭窄症

脊椎を支えている黄色靭帯の肥厚や椎間板の変性により脊柱管内が狭くなり、神経や血管を圧迫するようになって腰痛や神経痛を起こす障害です。
腰痛や下肢痛(鈍痛や激痛のこともあります)しびれ感、下肢の脱力感などの症状があります。

脊椎関節腰痛

身体を伸ばしたり、後にひねったりすることで脊椎関節に関節包や内部組織を挟み込んで痛みが発生する痛みや障害です。
立ち上がりや、体をひねった時にズキッという激痛が走り動けなくなるのが特徴です。

脊椎分離症

脊椎の棘突起の付け根が骨折したまま再生されないで棘突起が離れているために起こる痛みや障害。10代から起こしやすく、スポーツをしているアスリートでは一般人の6倍以上認められるといわれています。鈍痛です。
身体を伸ばす動作をした時や就寝時身体を伸ばした時に痛みます。
椎間関節への負荷が原因ですが、鈍痛の方が多くみられます。

上体を反らす時に気を付けること

上体を反らして起こる腰痛の原因には「フィードフォワード機能」がうまく使えていない場合があります。フィードフォワード機能というのは、ある動作を起こす時に身体を備えておき、その後に起こる現象の影響を極力少なくしようとする機能のことです。簡単にいうと、予知して備える機能です。
例えば、軽い箱を持ち上げる場合にはそれほど意識はしませんが、冷蔵庫を抱えるとなると、それ相応に身体に力を入れる必要があります。その時に事前に準備しておくことで身体への負担を最小限に抑える働きを持っています。これがフィードフォワード機能です。
重いものを持つ、高いところに手を伸ばす、などの動作は意識して行いますが、洗濯物を干す、落ちたものを拾うなど、ほとんどの人には何の問題も起こさない日常生活上の些細な動作が椎間関節を痛める要因になっていたりしますし、脊椎分離症がある人にとっては、腰痛を誘発する原因のひとつになり得るのです。
動作を常に意識しておくことは難しいですが、ふとした時に発生する急性腰痛を防ぐためには、日ごろのトレーニングが欠かせません。

上体を反らした時に腰痛を起こさないために

日常生活で出来る腰痛の予防法は「インナーマッスルを鍛えること」と「股関節を動かす」です。

インナーマッスルを鍛える

腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルによる安定機能を鍛えて、脊椎を安定させることが重要です。
多裂筋は脊柱の深部に位置していて、椎間関節間の安定化を維持している筋肉です。腹横筋は収縮することで腹圧を高め、体幹を硬くして一本に強い柱のような状態に保つことが出来ます。
ぎっくり腰はフィードフォワード機能がうまく働かない時に起きている可能性が高いと考えられています。また慢性腰痛患者においては、腹横筋や多裂筋の事前収縮が乏しい傾向にあることが分かって来ており、フィードフォワード機能が十分に働いていないと考えられます。 このことからフィードフォワード機能を正常に働かせるためにも、インナーマッスルを鍛えることが有効と考えられています。
自宅でも出来る方法として、バランスボールを使って身体を動かしたり、背筋を鍛えたりするトレーニングがあります。

股関節を動かす

若い人でも股関節が開きにくい人がいますが、加齢に伴って股関節が硬くなり動かしにくくなります。股関節が良く曲がる人や、広がりのある人は足を使ってバランスを取ることが出来るので、腰にかかる負担が減ります。
日ごろから歩幅を広くして歩いたり、四股を踏んだり、ヨガやストレッチなどで股関節の可動域を広げるなど股関節が正常に動くようにしておくことも腰痛予防には大事なことです。

👉股関節と腰痛の関係 よくある症状から対策を徹底解説

まとめ

腰痛を引き起こす「上体を反らす動作」は日常生活のなかで思ったより多くありますが、ここに書いたことは一部です。上体を反らしていないようで、反らさないと出来ない動きはたくさんあります。
腰痛は少しの痛みだからと放置してしまいがちですが、慢性的に腰痛に悩んでいる人や、若いからと腰痛のことを相談出来ない方も多く「国民病」といわれていますが、正確に診断して、正しい治療やトレーニングを行うことで改善出来るものでもあります。
上体を反らして起こる腰痛のなかには、完治しにくいものや自己流で悪化するものもあります。自分で治そうとせずに整形外科の専門医に診断してもらい、理学療法士などの専門家の指導の下で腰痛体操などのリハビリやトレーニングを行うことが腰痛改善への近道です。

〈参考文献〉
図解入門 よく分かる
腰痛症の原因と治し方  著者中尾浩之 (株式会社秀和システム)2016 9月20日
プロが教える骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典 著者 岡田隆

背骨コンディショニングで坐骨神経痛は治る!
日野英彦著 (主婦の友社)
<参考>
日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
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