MENU
メニュー

運輸業に多い腰痛は長時間の運転や、荷作業などによる腰部への負担が増加し、腰痛が発症することが多いです。

今回は運輸業に多い、腰痛をどのように未然に予防することと、既に腰痛がある人が改善するための方法をお伝えしていきます。

業種別にみる腰痛発症件数

厚労省のデータによると、2018年と2019年の運輸交通業の腰痛件数は1,407件であり、業種別全体の13.8%となっています。

ちなみに業務上腰痛件数は、保健衛生業が3,195件(31.3%)と最も多く、次いで商業が1,688件(16.5%)、製造業が1,527件(15.0%)となっています。


長時間運転していると、だんだんと腰が重くなってきて疲労が溜まる、このようなことはありませんか?

運転中、

  • ・今にもグキっと音がなりそうな状態
  • ・なんだか重だるい腰の違和感
  • ・腰が痛くて表情が引きつってきた顔
  • ・車の渋滞にはまって運転時間が伸びて、腰が痛くなってきた
  • ・右折左折の時に、横にかかる重力を支えて痛みが出る

こういったことを1度は経験されたことがあるのではないでしょうか?

ドライバーの方は運転することが仕事になるので、腰の状態は日々良い状態を維持していきたいですよね。

なぜ運輸業は腰痛になりやすい?

その要因は2つ考えられます。

1.座る姿勢

2.運転中の視野

座る姿勢

一度座る姿勢を思い出してみましょう。
どのような姿勢になっていましたか?

背筋が曲がっていたり、首が前に出ていたり、もしくは身体が正面に対して斜めを向いていたりしていませんでしたか?

背筋がつぶれて猫背となってしまう姿勢は、脊柱を支持する主な力源が,筋から脊柱の靱帯組織(棘間,棘上靱帯,椎間関節包など)や腰背腱膜などの受動性組織に徐々に移行していると考えられ,時間経過とともに負担度が増加していきます。
このような状態が続くと、クリープ現象と言って、伸ばされた靭帯が伸びたままとなり、さらに腰部・体幹の安定性を低下させる要因となっていきます。

筋肉も靭帯でも支えられないとなると、その姿勢を維持することが困難になってしまうのは想像が付きますね。

また猫背になると、頭の位置が自然と前方に移動してしまうため、その頭を支えるために、頸部の筋肉が過剰に働いてしまいます。

👉運転すると腰が痛くなるのはなぜ?原因と対処法を知って快適なドライブを楽しもう

身体の負担が一番少ない姿勢

座っている時に、頭の重心が体幹や骨盤の重心線上に、もしくはその近くにあるかです。

例えば、腕を90度前に上げるのと、45度で腕を上げるのでは、負担が違います。

試して頂くとわかると思いますが、45度の方が楽だったはずです。

つまり、身体の重心から距離が離れるほど、支える力が必要になってきます。

本来、身体を支えるには、必要な筋肉が必要なタイミングで働けば良いのですが、

私たちの身体は必要以上に無駄な筋肉が働いてしまっていることが多いのも事実です。

非効率な身体の使い方をしているのを止めるには、重心の位置関係を把握することが大事です。

こうすることで、座っている姿勢での無駄な力を使うことなく身体を支えることが可能になります。

重心位置を把握して、無駄な力をとるやり方をお伝えします。

身体のインナーマッスルを感じるやり方

  • ・椅子に座っている状態で、両手を坐骨に手を当てる
  • ・両坐骨に手を当てたら骨盤を立てます(前傾)
  • ・手を当てた状態で骨盤を立てると坐骨を感じやすくなると思いますのでその姿勢をキープ
  • ・3の姿勢から身体を右側・左側へと体重を4~5回移動させます。
      例)右側に移動させると右の坐骨がより感じられると思います
  • ・両坐骨の圧が均等になる真ん中に重心を持ってくる
  • ・5の姿勢で両手を離す
  • ・両手を離した状態で坐骨を感じられていると無駄な力を入れることなく良い姿勢がキープできます。

これが良い姿勢です。

良い姿勢にしようとするのは良くない?

ポイントは無理に背筋を伸ばす必要はありません。

それは見せかけの良い姿勢なだけです。この姿勢では背筋に過度に負担がかかり、すぐに疲れてしまうはずです。

よく、良い姿勢にしようとすると、腰を反らして良い姿勢を作る人が多いです。

これは普段から腰を意識しやすいからこそ、腰を伸展させて良い姿勢を作ろうと身体が戦略をとってしまっています。

つまり、腰痛になりやすい人は、普段から腰が先行して身体を動かす場合が多いのです。

良い姿勢を作ることが目的ではなく、身体に無理なく正しい姿勢になることが理想です。

これが結果として、「良い姿勢」に見えるだけです。

ですので、

ポイントは坐骨を感じること

坐骨を感じることで、身体のインナーマッスルが賦活され、本来の身体を支える筋肉が働いてくれるようになります。

身体の重心の位置が丁度ど真ん中にくるから、深層の筋肉が働くようになります。

特に、大腰筋はTh12(胸椎)から小転子に停止している筋肉で、体幹~骨盤~大腿骨を繋ぐ唯一の筋肉になります。大腰筋が効くからこそ、体幹が安定する身体の使い方になるのです。

このように、重心の位置関係で私たちはどのような筋肉を使って身体を支えるかが変わってきてしまいます。

どうせなら痛みがなく、身体の負担が少ない姿勢で身体を支えたいですね。

また、座る姿勢は股関節が常に屈曲位(曲がっている)になります。

この姿勢が長く続くと股関節の後面の筋肉(梨状筋など)が緊張状態となってしまい、

その結果、下肢に痺れが生じるケースもあります。

もし痺れがあるという方がいましたら、お尻の筋肉を触ってみてください。

梨状筋が固くなってしまったっために、その筋肉の間から出ている坐骨神経が絞扼されて痺れがでている可能性があります。

筋肉が固くなってしまっている場合は、下記のストレッチを試してみましょう。

お尻のストレッチやり方

  • 座った姿勢で足首を反対の膝の上に乗せる
  • 股関節の付け根から姿勢を曲げる
  • お尻の筋肉にストレッチがかかっているようであればOK
  • 10~20秒程度ストレッチをかける
  • ストレッチ後、少しお尻の筋肉の固さが取れていたり、痺れが軽減していたらOK
  • 運転中の視野

運転中の視野

運転中は事故が起きないように、フロントガラス越しに左右正面、サイドミラーやバックミラーから沢山の情報を取っていると思います。

真っすぐ運転することから、車線変更や右折左折など、状況に応じて運転していると思います。

そして、目の動きは後頭部の後ろにある後頭下筋群が目の動きと合わせて働きます。

また、身体のバランスを取るのにも働く筋肉なので、疲労が溜まりやすい筋肉といえます。

首の筋肉の疲労が肩こりや腰痛にも繋がる可能性も上がってきてしまいます。

目からの情報を取ろうとするあまり、頭の位置が前に移動している方は気を付けましょう。

上記の「坐骨を感じる」やり方で、頭の位置も改善されるので、併せて感じてみてください。

目からくる疲労の取り方として後頭下筋群のストレッチ方法をお伝えします。

後頭下筋群は後頭骨の付け根にある筋肉です。

後頭部のストレッチ方法

  • 後頭下筋群を触って刺激を入れる
  • 片方の手で顎を引く(二重顎を作るように)
  • 空いている片方の手で後頭部を上から下に向かって押す
  • 後ろの首の付け根が伸びているのが感じられればOK
  • 10~20秒程度ストレッチをかける
  • ストレッチ後、筋肉の緊張が取れていればOK
👉腰痛改善ストレッチ15選│予防におすすめの筋トレ5選も

ドライバーの腰痛は仕事の死活問題に

腰痛が続くと、出勤はしているものの仕事のパフォーマンスが下がる、いわゆる「プレゼンティーズム」になりかねません。

さらに悪化すると「アブセンティーズム」といわれる、心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤、休職など、業務自体が行えない状態となり、業務効率の低下を引き起こしてしまいます。

このように、腰痛は仕事の生産性低下を招く要因となってしまう可能性が高いです。

腰痛改善を法人として取り組まれてみるのはいかがでしょうか?

YO-TSU DOCTOR無料モニターとなる法人様の募集

もともと個人向けに展開していたアプリですが、法人様向けにも提供できるよう今後サービスを展開していく予定です。

ぜひ、法人として利用してみたい企業様がございましたら下記フォームからご連絡お待ちしております。

参考文献
運送業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエク車の運転で腰痛になってしまう人は要チェック!
3つの異なる座位保持課題が腰椎分節の 角度変化に及ぼす影響運転中と運転前後の腰痛予防法と対策ササイズ
姿勢の違いが腰に与える負担について
車の運転の基本〜正しいドライビングポジション〜
運転疲れ対策

平成 30 年及び令和元年労働者死傷病報告における業務上腰痛の発生状況に関する報告書

https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2021_05/lowerbackpain_h30-r01.pdf

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator