腰痛はなかなか治りにくいと思われているものですが、その中でも坐骨神経痛は、腰痛に加えてお尻や足の痛み、加えてしびれを伴う症状です。しかも、原因が確定できない坐骨神経痛は、日常生活の中で少しずつ楽しみを奪っていくやっかいなものです。例えば、長く座っているとお尻や足がしびれたり、痛んだりしてきて仕事に集中できなくなることがありませんか。お買い物の途中でお尻が痛くなったり足がしびれたりして出かけるのが億劫になっていませんか?
楽しいはずの買い物や集中したい仕事に差し障るって嫌なものです。
坐骨神経痛は、整形外科でも原因疾患が鑑別できない場合があり、そのためにただ様子を見ているだけで治療につながらないケースも見受けられます。これでは、症状は一向に良くなりません。ですが、仕事に集中できるように、楽しく一日中ショッピングを楽しめるように坐骨神経痛から解き放たれたいと思うのです。
そこでこの記事では、坐骨神経痛と言われてなかなか治らない方のために、坐骨神経痛について解説していきます。
目次
坐骨神経痛は症状
坐骨神経痛というのは病名ではなくて症状のことです。椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症などの疾患の症状として「坐骨神経痛」があります。
ですが、坐骨神経痛の症状はあるものの、原因となる疾患が特定できない時があるのです。
まず、坐骨神経痛について詳しく知っていきましょう。
坐骨神経は、腰椎と仙骨から出てお尻の梨状筋の下を通り、太ももの後面を通って膝で総腓骨神経と脛骨神経に別れて下肢~足裏に続く神経で、体の中で一番長い神経です。
この坐骨神経のどこかが、何らかの原因で刺激され、痛みを発生することを「坐骨神経痛」といいます。
そのため、坐骨神経痛を起こす原因はどこかにあるのです。
坐骨神経痛の診断は難しい
坐骨神経痛の原因には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、骨粗しょう症などがあります。その診断には、問診とともにレントゲン撮影やCT,MRIなどの画像検査を行います。
その時、骨や関節の異常はレントゲンやCTなどで「見えます」が神経痛に関する神経や筋肉は、画像検査では「見えにくい」のです。
また、痛みやしびれがあるのに画像検査では病変が見られないことも多く、ヘルニアとも言えず、脊柱管も神経を圧迫するほど狭くなっていないこともあります。
整形外科医であっても、見えないものは診断できないといえます。
そういう時に、「坐骨神経痛」という病名が付くことがあるのです。
坐骨神経痛の原因として他に考えられるものはあるのでしょうか?
坐骨神経痛を起こす疾患として、画像に写らない原因として考えられるものに、梨状筋症候群や仙腸関節性腰痛などが挙げられます。
この原因についても説明しておきます。
梨状筋症候群
梨状筋はお尻の深いところにある筋肉で、坐骨神経の出口のところにあたります。マラソンやゴルフなどの運動のし過ぎや、座りすぎ、長時間の中腰、などの原因で梨状筋が硬くなることで、坐骨神経を圧迫して、痛みが発生することを梨状筋症候群といいます。
お尻に痛みがあり、太ももの裏がしびれたります。長時間運転などの梨状筋に負担がかかる場合に起きやすいものですが、レントゲンや画像検査では見つかりません。
仙腸関節障害
仙腸関節とは、骨盤を形成する腸骨と仙骨のつなぎ目にある関節で、靭帯によって強固に連結されています。仙腸関節障害は、この関節が固まって動きが悪くなったり、逆に靭帯が緩んでずれてしまったりして起こります。
MRIやCT、レントゲンではわかりません。
出産で骨盤がずれてしまって起こることが多いのですが、男性でも転倒や運動で起こることがあります。
仰向けに寝ると痛い、痛い方を下にして寝られない、お尻が痛い、お尻や足にしびれ感がある、長く座っていられない、股関節が痛いなどの症状があります。
疼痛検査などで診断します。
坐骨神経痛を改善する方法はあるの?
では、原因がよくわからない坐骨神経痛を改善する方法はあるのでしょうか?
まずは、これまで説明してきた原因について、自分の症状と照らし合わせてどれに合えはまるのかを診断していきましょう。
可能であれば、そういう診断をしておられる病院やクリニックを受診することが近道です。
例えば、腰を曲げると痛む椎間板ヘルニアと腰をそらして痛む脊柱管狭窄症では、症状も正反対なように、改善方法も正反対なのです。
共通で言えることは、姿勢を正しく保つということです。
どのような腰痛も坐骨神経痛も、まずは正しい姿勢を保つことで悪化を防ぐことができます。
しかし、長年の習慣で姿勢が悪くなっているものをすぐに正しい姿勢に戻せるわけではありません。
まず正しい姿勢を知り、その形に矯正することが必要です。
最初は理学療法士などの専門家に正しい姿勢を教えてもらうことが出来るといいでしょう。
自宅でできる改善方法
自宅でできる坐骨神経痛改善方法として、保存療法と運動療法があります。
保存療法としては骨盤ベルトやコルセットで腰や腰骨を保護することです。
運動療法としては、腰を曲げて痛い場合と腰をそらしていたい場合のどちらにも悪影響のない方法をご紹介します。
姿勢をよくするためのドローインとストレッチです。
いきなり、腹筋や背筋を鍛えることは腰痛の原因になりますし、長続きしません。
まずはドローインから始めて姿勢筋を鍛えていきます。
ドローイン
お腹をへこませる呼吸法です。
ドローインは、腹横筋を鍛えます。腹横筋は姿勢を整えるために必要なインナーマッスルです。正しい姿勢のためにドローインを覚えましょう。
ドローインは少しコツが必要なので、まずは準備運動をします。
初めは、腹式呼吸から始めます。
仰向けに寝て膝を立てます。
お腹に手を当てて、お腹を膨らませて息を吸い、息を吐きながらお腹をへこませます。(10回)
次は逆をします。
息を吸う時にお腹をへこませ、息を吐きながらお腹を膨らませます。(10回)
これに慣れたらドローインをしましょう。
仰向けに寝て膝を立てます。
お腹を膨らませて息を吸います。息を吐きながらお腹をへこませます。腰が床につくことを意識してお腹をへこませます。
お腹をへこませたまま、息を吸ったり吐いたりを繰り返します。
(30秒から1分間)
ストレッチ
太もも裏のストレッチ
坐骨神経痛はお尻の筋肉や太もも裏のハムストリングスという筋肉が硬くなっていると改善しにくくなります。
腰に負担をかけないように、太ももの裏を伸ばします。
椅子に浅く腰掛け、足裏全体が床につくようにします。その時、膝が直角になるような椅子の高さがいいでしょう。
痛い方の足を痛くない方の膝にのせます。
背筋を伸ばして息を吐きながら、体を前に倒します。
(この時背中が丸まらないように気をつけましょう)
太ももの裏の筋肉が硬くなっていると、挙げたほうの膝は平らになりません。
痛くない方の膝はまっすぐになっていることがわかります。
一度に伸ばすと筋肉を傷めることがありますから、ゆっくり痛みを感じたらやめましょう。
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まとめ
坐骨神経痛は、痛くて嫌なものです。
少し良くなったかと思えば、歩くとまた痛んだり、長時間座っているとしびれたりします。
いつになったら治るのだろう?そう思って別のクリニックを受診したり、整体院やマッサージで施術を受けたりしてきたと思います。
原因がわからないことで、なかなか治らない痛みがストレスになったり、痛みやしびれがあることで出かけることも億劫になったりします。ストレッチや体幹トレーニングなどの腰痛体操を行い、そんな楽しくない日々からさよならしましょう。
坐骨神経痛は、原因を見つけることが重要です。医師に確定診断をされなかったとしても、原因を見つけることはできます。
あきらめずに原因を見つけて、改善への道を進みましょう。
参考:坐骨神経痛について メディカルノート