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腰痛と共にお尻も痛くなる……そんなつらい経験をしたことがある方はいらっしゃいますか?もしかしたらその症状は、「仙腸関節性腰痛」が原因かもしれません。本記事では、出産後の女性を始めとする多くの方を悩ませている「仙腸関節性腰痛」について説明します。

仙腸関節性腰痛とは?

仙腸関節とは、骨盤にある「仙骨」と「腸骨」という2つの骨の間にある関節です。仙腸関節は上半身と下半身からの衝撃を吸収して分散するという重要な役割を果たしており、私達の日常的な動きに対応しながら身体全体のバランスをとっています。

何重もの硬い靭帯によって覆われ固定されているため関節の割には動きが少ない仙腸関節ですが、3〜5mm程度であれば動くと言われています。

仙腸関節性腰痛とは、その仙腸関節に無理な負荷がかかることで歪みが生じて腰痛やそれに付随するさまざまな痛みを引き起こしている状態です。中腰での作業や関節部に繰り返し負荷がかかることで、仙腸関節性腰痛が起こりやすくなります。

それ以外には、出産後の女性がなりやすい腰痛であるとも言われています。

仙腸関節性腰痛の原因

ぎっくり腰の1つの原因とも言われている仙腸関節性腰痛ですが、そのハッキリとした原因はまだ分かっていません。

しかし、その構造から仙腸関節に左右非対称の力が加わることで腰痛などの痛みが生じやすくなると言われています。具体的には、中腰の姿勢を続けることが多い方やスポーツなどで腰を捻る動作をよく行う方が当てはまります。

その他にも、片側でかばんを持ち続ける癖がある方や足を組む癖のある方も注意が必要です。

また、女性の場合、出産も仙腸関節性腰痛の原因となる場合があります。出産の際、仙腸関節の周りにある靭帯が急激に引き伸ばされて緩むことで産道が広がります。

通常の場合、緩んだ靭帯は出産後徐々に治っていくのですが、出産後も靭帯がゆるんでいる状態が続くことで仙腸関節性腰痛を引き起こしてしまうのです。産後の女性はホルモンの影響で骨盤が弛みやすくなっていることも、腰痛に関係があると言われています。

仙腸関節性腰痛の症状

仙腸関節性腰痛の症状としては、両側もしくは片側の腰痛・臀部痛・下肢痛などが見られます。最も訴える方が多い症状は、骨盤の出っ張っている部分である仙腸関節部の痛みです。それだけでなく、稀に大腿後外側や鼠径部に痛みが生じる場合もあります。

仙腸関節部はお尻に近い部分であるため、腰痛というよりかはどちらかというと臀部の痛みを自覚する方が多いようです。痛みが生じる部分が限定的な場合が多いため、痛む部位を指差すことが出来るのも特徴の1つです。

また、腰を反らした時に生じる痛みや長時間座り続けることで生じる痛みなどもあります。これらの症状は脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの症状と重なる部分があるため間違えられやすく、適切な治療がなされないこともあるので十分に気をつけましょう。

仙腸関節性腰痛の診断

仙腸関節性腰痛の診断を行う際に重要なのが、椎間板ヘルニアなどの似た症状を呈する疾患の除外です。それらの疾患と仙腸性関節性腰痛を見分けるためには、レントゲンやMRIなどの画像診断の利用が有効となっています。

それらの疾患が否定された上で腹臥位時に仙腸関節を圧迫し、痛みが生じた場合は仙腸関節性腰痛であると考えていいでしょう。その他の診断方法としては、ブロック注射を行い痛みが消失するかどうかを見る方法などもあります。

なお、仙腸関節性腰痛自体はレントゲンなどの画像診断でははっきりとした異常が見つからないことが多いと言われています。そのため、仙腸関節性腰痛であるにもかかわらず、ただの腰痛であると診断されることも。

もし専門機関を受診した上で診断内容に不安がある場合は、何人かの医師の意見を聞いてみるのも1つの手かもしれませんね。

仙腸関節性腰痛の治療

仙腸関節性腰痛の治療においては、保存療法が選択されることが多いです。強い痛みが現れている急性期の段階では、まず安静を保つことが重要。痛みがあるもののどうしても動かなければならない方や安静にすることが難しい方は、骨盤ベルトやコルセットを使用すると良いでしょう。

骨盤ベルトやコルセットはドラッグストアなどでも一部取り扱いがありますがその種類は多岐に渡るため、使用したい場合は自身に最も合ったものを選ぶためにも一度医師と相談してみてくださいね。

また、痛みに対しては内服薬や外用薬などの各種鎮痛薬も有効です。なお鎮痛薬は一時的な痛みをとるものであり、腰痛などの症状を完治させるものではないので気をつけましょう。

痛みが少し落ち着いてきたら、仙腸関節の安定性を高めるために運動療法を取り入れます。特に、腹横筋や大殿筋などを鍛えることで仙腸関節が安定しやすくなると言われていますよ。詳細なストレッチについては、後ほど紹介します。

以上の治療を試しても痛みが改善されない場合は、仙腸関節に局所麻酔剤を使用する仙腸関節ブロックを検討します。ブロック注射により痛みが軽減されると、仙腸関節が適合しやすくなると言われています。

仙腸関節性腰痛に効果的なトレーニング

身体の中心にあるとも言える仙腸関節付近の筋トレを行うことで、全身の歪みが改善されることも期待できます。ここでは硬くなってしまった仙腸関節を整えるためのトレーニングをいくつか紹介するので、是非試してみてください。

ヒップリフト

①仰向けに寝て、両膝を90度に立てます。
②お腹に力を入れた状態で、肩・腰・膝が一直線になるのを意識して床からお尻を持ち上げます。この際、両手のひらは床につけておきましょう。
③膝からお腹が一直線になったらその状態で10秒ほどキープします。
④ゆっくりとお尻を戻します。
⑤①〜④を5回×5セット程繰り返します。
ポイント:呼吸を止めずにゆっくりと繰り返すことが重要です。

クラムシェル

①横向きに寝て、両膝を揃えて90度に曲げます。
②頭を床側の腕で支え、反対の手は胸の前につきます。
③その状態のまま、お尻の外側を縮めるイメージで膝を上に開いていきます。
④膝が1番上にきたら、そのまま3秒程キープします。
⑤①〜④を20回程繰り返し、反対側も同様に行います。
ポイント:上体が上を向いてしまうと、お尻の筋肉に効かないので気をつけましょう。

これらのトレーニング以外にも仙腸関節を整えるために効果的なものはたくさんあるので、他にも探してみてください。

👉【10種目】腰痛改善に効果的な筋トレメニュー│筋トレで腰痛になる原因も

まとめ

本記事では仙腸関節性腰痛の原因や症状について紹介しましたが、いかがでしたか?産後の女性を代表として多くの方を悩ませている仙腸関節性腰痛ですが、予防するためには仙腸関節の周りの靭帯に無理な負担をかけないようにすることが重要です。

一度なってしまうと日常生活に支障をきたしてしまう場合もあるため、日頃から腰回りの適度なストレッチなどの腰痛体操によって、正しい姿勢を意識するようにして腰痛を予防しましょう。

仙腸関節障害と腰痛 原因、症状、ストレッチ等の治し方

著者情報

腰痛メディア編集部
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