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「腰椎圧迫骨折」は、腰椎(腰あたりの背骨)の椎体という部分に外力が加わることで生じる骨折です。

レントゲン写真を見ると、折れた骨が上下から圧迫を受けて潰されている様子が確認できます。まさに、「圧迫骨折」という語句に矛盾しない所見が見て取れます。

腰椎圧迫骨折の原因としては、加齢や骨粗鬆症が多いことが分かっています。

要介護者の予備軍とも言える「要支援者」の内訳を覗くと、その約30%が関節疾患や骨折などの整形外科疾患とされます。そのため、今後ますます高齢化が進む日本においては、腰椎圧迫骨折の重要性も増すことが予想されています。

腰痛の原因は多岐にわたります。厚生労働省の調査によれば、原因を特定できない「非特異的腰痛」が全腰痛の約85%を占めるとされています。

しかし近年の研究では、非特異的腰痛と認知されてきた高齢者腰痛の中に、新規の腰椎圧迫骨折が含まれているケースが多く含まれることが分かってきました。そのため、現在報告されている腰椎圧迫骨折も氷山の一角にすぎないかもしれないのです。

腰椎圧迫骨折の原因

腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症と関連性の強い疾患です。

骨粗鬆症では、骨密度の低下に伴い骨の強度が弱くなっているため、軽微の衝撃や圧力だけでも腰椎が折れてしまうのです。

骨粗鬆症の原因としては加齢が有名ですが、実は女性ホルモンの影響も大きく受けます。あまり意識しないと思いますが、骨は毎日代謝を繰り返しています。つまり、古い骨が壊され新しい骨に替わることで、頑丈な骨がつくられるのです。

しかし閉経後の女性では、女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少で骨を壊す働きが盛んになり、骨の再生が追いつかない事態になります。

また、女性ホルモンは「脂肪組織」でもつくられるため、「過度なダイエット」も骨粗鬆症を引き起こすのです。

腰椎で骨粗鬆症が起これば、当然ですが腰椎圧迫骨折のリスクが上がります。

そのため、尻もちや軽い転倒だけでも腰椎にストレスが加わり、圧迫骨折を引き起こします。

場合によっては、外傷の憶えがないような些細な原因によっても椎体が潰れてしまいます。

腰椎圧迫骨折を防ぐには、自宅のバリアフリー化や歩行時の付添いなど、ケガの未然の防止が大切です。

加えて、骨粗鬆症を予防・治療することで、仮に転倒しても骨折しにくい身体を作ることが可能です。

腰椎圧迫骨折の症状

腰椎圧迫骨折の症状は、大きく急性期と慢性期に分けられます。

急性期の症状は、痛みがもっとも一般的です。強い痛みのために、立っていることや体を動かすことが難しい場合も多々あります。また、折れている腰椎を圧迫すると痛みが強くなる特徴もあります。

一方、慢性期では強い痛みが消失するかわりに、背中が丸みを帯びてきます。「円背」や「亀背」と呼ばれますが、これ自体は特に問題になりません。ただ、背中が床に当たって横になれないなどのデメリットがあります。

腰椎圧迫骨折の場合、神経に影響が及ぶことは少ないため、神経症状が発現することはまれです。

しかし、合併する場合は手術治療も検討する必要があるため、「急に足に麻痺が出てきた」という場合は注意してください。

症状は、「急性期の痛み、慢性期の腰曲がり」と覚えてください。

腰椎圧迫骨折の治療

腰椎圧迫骨折に対しては、保存的治療が優先されます。

例外として、先に説明した神経障害が出現した場合は、手術治療を先行させることもあります。

保存的治療においては、コルセットでの装具治療が中心になります。特に、硬性コルセットで骨折部の安静を保ち、骨の癒合を図ることが大切です。また、高齢者の寝たきり予防のためにも、硬性コルセットが出来次第、速やかに歩行練習を開始することも重要です。

いくら圧迫骨折が治癒したところで足腰が立たなくなっては意味がありませんよね。硬性コルセットと軟性コルセットを比較した研究は複数ありますが、まだ一定の見解を得られていません。硬性コルセットの方が有効というデータと、差がないというデータの両方があるのが現状です。

また、保存的治療が奏功しない場合や神経障害を合併した患者さんには、手術治療が必要になります。

保存的治療をしても、約13%程度は偽関節(骨が癒合せずグラグラした状態)に進行し、約3%は神経障害を合併するという報告があるので、一定数の患者は手術が必要な状態と言えます。

高齢者に多い腰椎圧迫骨折!治療とリハビリのポイントを解説

まとめ:腰椎圧迫骨折は骨粗鬆症の関連疾患。加齢・女性ホルモン・痩せは要注意!

腰椎圧迫骨折は高齢者に多いと言われますが、その原因は骨粗鬆症にあります。加齢、閉経による女性ホルモンの不足、極端な痩せは骨粗鬆症のリスクになるので注意が必要です。骨粗鬆症が進行すれば、軽微な外傷でも骨折疾患を引き起こします。

治療は大切ですが、理想的なのは「腰椎圧迫骨折にならないこと」です。転倒しにくい環境づくりや、骨粗鬆症の予防・治療を意識することで圧迫骨折を未然に防ぐことが出来ます。腰椎圧迫骨折や骨粗鬆症でお悩みの方に、本記事が参考になれば幸いです。

【参考文献】
竹田 治彦「高齢女性の踵骨骨密度と胸腰椎椎体骨折の関係」 臨床整形外科 42巻8号

著者情報

広下若葉
広下若葉

保持資格

医師国家資格・麻酔科標榜医

経歴

2015年:医師国家資格 取得

2017年:初期臨床研修プログラム 修了

2020年:麻酔科標榜医 取得

    麻酔科専門研修プログラム 修了

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