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腰のサポーターでお馴染みのダーメンコルセット(腰椎軟性装具)。「寝る時はコルセットを外した方が良いですか?」「コルセットは毎日着けても良いですか?」などなど、コルセットを装着しているときに出てくるさまざまな疑問について深めていきます。
コルセットを正しく使えていないと、腰痛の悪化や治りの遅延、腰痛を繰り返す体になる可能性があり、つけるタイミングについては注意が必要です。

今回は、コルセットの効果や正しい使い方、使用中の注意点について詳しく説明していきますので、ぜひ効果的に使用するために参考にしてみてください。

コルセットに期待できる効果

ぎっくり腰などの腰痛の緩和に用いられるコルセットは、腹部から腰部にかけて巻くことで、腹圧が高まり、背骨が固定されます。
分かりやすく説明すると、コルセットが腹筋と背筋の代わりをし、腰(体幹)が安定することで、腰回りの筋肉にかかる負担が減り、腰痛の軽減につながります。

もう一つの効果として、ヘルニアやぎっくり腰など急性腰痛を発症した場合、少しの動きで痛みが誘発します。コルセットを巻くことで、腰の可動性を制限し、痛みの誘発を抑える効果があります。動けないほどの強い痛み(急性の腰痛)があり、生活に支障が出ている場合は、コルセットを巻いて腰痛の軽減を図りましょう。
腰椎コルセット

コルセットの正しい使い方

3つのポイントを守って効果的に使おう

1. コルセットは寝る時は外すが基本

2. コルセットの長期利用はNG

3. 腰痛を予防するためにコルセットを使用するのは間違った使い方

コルセットの装着について医者から指示を受けているときは、医師の指示通りに着用しましょう。

特別な指示を受けていない場合は、基本的に就寝中(寝ているとき)はコルセットを外します。腰回りの筋力の低下や血行不良などで腰痛が慢性化させる恐れがあるため、コルセットの長期利用はNGです!腰の痛みの具合に応じて、日中もコルセットを外す時間を増やしていきましょう。

脊椎圧迫骨折では寝る時もコルセットが必要

脊椎を圧迫骨折している場合、寝返りや起き上がりなどの動作によって、さらに骨折するリスクがあり注意が必要です。特に骨粗鬆症で脊椎を圧迫骨折している高齢者は、腰を曲げたり、反らせたりすることで骨折が連鎖しやすいです。そのため、背骨にかかる負担を軽減する目的で、就寝中もコルセットの着用します。

ただし、痩せ型の人など、場合によっては睡眠時にはコルセットを外したほうが良い人も存在します。コルセットの使用方法については、整形外科の医師の指示に従い、禁忌事項などに十分注意しましょう。

高齢者が背骨を圧迫骨折すると、医療用のダーメンコルセット(腰椎軟性装具)やフレームコルセットを着用し、2カ月程度は安静にして過ごさなければならないため、若い頃からの生活習慣の改善が重要になってきます。

痛みに対する不安は痛みをより敏感にさせる

腰の痛みへの不安や悩みは過度なストレスにつながるため注意が必要です。ストレスは自律神経失調症や脳の機能に異常をきたし、痛みに敏感な体になってしまうことがあります。徐々に痛みが改善してきたら、痛みが悪化しない範囲で少しずつ体を動かしていきましょう。成功体験を積み重ねることで自信がつき、痛みに対する不安やストレスの解消につながります。痛みが強い場合は医師に相談をし、投薬での痛みのコントロールを行ってもらいましょう。

腰の痛みが落ち着いたら腰痛をぶり返さない体づくりが重要

コルセットは腰痛を解決する根本的な方法でなく、あくまでつらい痛み(急性の腰痛)を和らげる目的で使用します。腰痛を予防する目的でコルセットを常用するのはやめましょう。

コルセットを装着して痛みが徐々に和らいでいったら、腰に負担がかからない体の使い方や腰回りの筋肉を身につける腰痛体操(エクササイズ)やストレッチなどを行い、腰痛をぶり返さないようにしていきましょう。ポイントは痛みが悪化しない範囲で行うことです!
エクササイズ

コルセットをつけることでのデメリット!使用中の注意点について

腰まわりの筋力の低下

コルセットを巻くと腹圧が高まり、腹筋群をはじめとする腰回りの筋肉の負担が軽減され、腰痛が軽減する効果が期待できます。

一方で、コルセットを装着している時は、腰回りの筋肉が使われにくくなり、姿勢を支えてくれる役割がある腹筋や背筋の機能が落ちていきます。長期的にコルセットを使用していると、コルセットを外したときに人間が本来持っているこれらの機能が働きにくくなります。そうすると痛みが良くなっても、コルセットがない状態ではまた腰痛が発症するといった負のスパイラルが起こります。コルセットなしで生活できなくなる恐れもあるため、常にコルセットをつけるのは良くありません。痛みが軽減してきたら、徐々に外す時間を増やしていきましょう。

血行不良

コルセットを巻いている間は、腰回りに圧迫を加えている状態のため、血流の流れが悪くなります。動いている時は、ふくらはぎにある筋肉のポンプの作用で、血液循環が正常に保たれていますが、寝ている時はふくらはぎの筋肉を使用しないため、コルセットで血行不良を起こす可能性があります。

寝ている時に腰回りを圧迫し、血行不良になると、人間が本来持っている自然治癒力が十分に発揮できなくなる可能性がありますので、常につけっぱなしは厳禁です。休息時など体を使わないとき(動かないとき)にはコルセットは外しておくようにしましょう。

なお、これはダイエット用のコルセットの場合も同様です。血流が悪くなると、内臓の働きが悪くなるなどしてダイエットにも悪影響が出ることがあります。

天然のコルセットと呼ばれる本来持っている体の機能を鍛えよう

普通の腰痛は動いて治すが鉄則

基本的にコルセットが必要なのは脊椎骨折や急性の腰痛(ぎっくり腰やヘルニアなど)に対してだけです。発症直後は炎症を伴う強烈な痛みがあるため、コルセットを巻いて痛みを取ることが第一ですが、痛みが落ち着いてきたら動いて治すのが鉄則です。

“痛みが怖くて”と、コルセットを常用し安静にしていると、腰回りの筋肉が衰え、腰痛の治りが遅くなったり腰痛をぶり返すなど慢性化させる原因になります。

腰痛になりにくい体づくりとは

腰痛を治す最大のポイントは腰痛グッズに頼らず、自分の持っている体の機能を高めることです。病院でレントゲンを撮っても原因が分からない非特異的腰痛の方は腰痛患者全体の8割にものぼり、筋力・柔軟性・モーターコントロールの低下が要因と言われています。

腰まわりの筋肉や背骨など、体幹を鍛えることで腰回りの安定性を強化すれば、腰痛を起こしにくい体を作ることができます。

腰まわりの筋肉をつけるというと“筋トレ!腹筋!”などのイメージを思い浮かべるかと思います。しかし、腰痛解決のために大切なのは、表面の筋肉だけでなく、体の内側の筋肉もあわせて鍛える必要があります。

腹筋などのアウターマッスルと同様に、インナーマッスル(骨ひとつひとつに付いている筋肉)を鍛える事で、柔軟で安定した体を手に入れることができ、腰痛を引き起こしにくい体につながります。
腰痛改善 

おすすめのエクササイズ

繰り返す腰痛を根本的に解消するためには、筋肉のガードル・天然のコルセットと呼ばれる体を支えるための安定した体幹をつくることこそ最も効果的な治療といえるでしょう。
腰痛でお悩みの方におすすめの「ピラティス(エクササイズ)」ポーズを紹介。

まとめ

今回は、腰が痛い時に使うコルセットについて解説していきました。
基本的にコルセットはぎっくり腰などの急性の腰痛時(痛みが強い時)、もしくは安静にしたいけど動かなければいけないときに使用します。腰痛の予防のためにコルセットをつけるのは誤った使い方ということをご理解いただけましたでしょうか。
つらい痛みが少しずつ改善していったら、徐々にコルセットの外す時間を増やしていき、体幹や腰回りの筋肉を鍛えて腰痛になりにくい体作りをしていきましょう。まずは、自分の体と向き合うことが大切です。腰痛の原因はなにか、腰痛を引き起こす要因(生活習慣や環境など)はなにか、これらを知ることであなたにあった解決策が見つかることでしょう。

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腰痛ベルト(コルセット)が効く人、効かない人の特徴とは

◆参考URL◆
教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス, 腰痛,
古賀昭義, 患者指導ワンポイントレッスン
ぎっくり腰の対処法

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著者情報

庄司 しおり
庄司 しおり

保有資格

看護師

経歴

大学病院にて看護師として勤務。

成田先生の運動療法に出会い、7年間悩まされていた腰痛がみるみる改善。今では自分で腰痛をセルフコントロールできる状態になりました。

同じく腰痛に悩む多くの人々に少しでも役に立てるよう情報発信していきます。

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