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鍼灸院って、あまり馴染みがない人も多いのではないでしょうか。鍼灸院は名前の通り、鍼灸施術を行うところですが、実際どんなことをしているのでしょうか?今回は鍼灸とはどんなものなのか、対象となる腰痛や施術効果について紹介していきます。

鍼灸院ってどんなことをする?

鍼灸院について、何となく鍼(はり)をしたり灸(きゅう)したりするのだろうと想像はできますが、何にどう効くのか分からない方が多いです。鍼灸施術の内容を詳しく解説します。

鍼灸とは?

鍼灸とは名前の通り、鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて、身体が本来持っている自己治癒力を高め、さまざまな不調を改善していく施術です。身体にはツボが無数にあり、その部分に身体の不調が現れやすいです。鍼灸師はツボの反応をみて、施術を行っていきます。

近年、鍼灸施術は世間的にも世界的にも注目されていて、美容鍼灸やスポーツ鍼灸、婦人科鍼灸などの分野でも効果があると、認識されてきました。実際、米国内科学会の腰痛治療に関するガイドラインで推奨されています。

では、鍼(はり)と灸(きゅう)のそれぞれの施術内容を紹介していきます。

鍼(はり)施術

鍼と聞くと、大抵の方は「怖い」とか「痛そう」というイメージを持たれていると感じます。しかし、それは注射針をイメージされているからです。実際に鍼施術を受けられた方は、思っていたほど痛くない・鍼されている感覚がないという反応も多いです。

なぜかというと、鍼灸院で使う鍼は髪の毛ぐらいの細さで、尖端部分が少し丸みを帯びていますので、痛みが少ないのです。稀に毛穴に入ってしまったり敏感な部分に当たったりすると、チカッと痛みを感じることがありますので、痛みを感じた場合はすぐに鍼灸師に言えば対処してくれます。

また、鍼施術は目的により色んな方法があります。鍼灸院によって行っている方法は異なりますが、今回はその中でポピュラーな方法を紹介します。

単刺(たんし)

身体に鍼を入れたらすぐに抜いて、また別の場所に入れて抜く動作を繰り返す方法です。ずっと入れておかないので、安心安全です。一番行われている方法で、症状がある場所を全体的に施術できる特徴があります。

置き鍼

身体に鍼を入れて、そのまま身体に留めておく方法です。10分程度、置いた後に抜いていきます。鍼を入れている間は動けませんが、つらい所を集中的に緩和できる特徴があります。また、単刺のように何回も入れる動作を行いませんので、痛みが出る可能性が低くなります。

電気鍼(でんきばり)

主に筋肉を対象に施術する場合は、電気鍼があります。置き鍼をした後、電気コードをつないで電気を流していく方法です。怖いと思う方も多いですが、特に筋肉に痛みや張りが出ている場合は効果的です。電気刺激には、痛みや血流改善の効果があるのでおすすめです。

灸(きゅう)施術

灸は「お灸をすえる」というイメージが強い方が多く、悪い印象を持たれがちです。しかし、実際に受けられると、気持ち良いとかあったかいとか言われます。お灸の成分は、艾(もぐさ)というヨモギの葉から精製されているもので、独特の芳香がします。

灸施術も同じく、目的によりさまざまな方法がありますので、代表的な方法をここでは紹介します。

知熱灸(ちねつきゅう)

お灸といえば、艾を三角錐の形にして燃やすのが一般的です。その中でも、皮膚まで完全に燃やし切る方法を透熱灸(とうねつきゅう)といいます。この方法は、艾の大きさによっては熱くて、火傷の跡が残る場合もありますので、好まれる方は少ないです。

しかし、別の方法で知熱灸(ちねつきゅう)というのもあり、これは皮膚まで完全に燃やし切らず、受け手が温かいと感じるぐらいで艾の火を止めますので、熱くありませんし火傷の跡も付きません。

せんねん灸(きゅう)

せんねん灸とは、台座の上に艾が乗っているもので、物によって温かさが異なります。シールで貼り付けることができますので、自宅ですることもできます。艾が燃え切っても台座がありますので、火傷の心配もなく安心です。

灸頭鍼(きゅうとうしん)

灸頭鍼とは、簡単に言うと鍼と灸の効果を合わせた方法です。まず目的のところに置き鍼をして、鍼の頭のところに艾をタンポポのように刺して、艾に火を付けていきます。鍼の刺激とお灸の温かさと両方感じることができるのです。

艾に火が付いていると、鍼が熱くならないか心配される方もいらっしゃいますが、鍼はステンレス製ですので熱くならないです。

鍼灸院で施術できる腰痛とは?

では、どんな腰痛であれば鍼灸院に行っても良いのか解説していきます。

筋・筋膜性腰痛

筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や周りを包んでいる筋膜の微細損傷です。急性の筋・筋膜性腰痛は、急激な動作や腰を捻った時に損傷が起こった状態です。慢性の場合、筋肉の疲労や血流不足、不良姿勢などで発生します。

急性でも慢性でも鍼灸施術は有効で、筋肉の痛みを緩和させてくれます。慢性であれば、灸施術を行うことで血流が改善し、症状が緩和されますので、そのような症状がある方は鍼灸院に行ってみてください。

慢性の腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にあるクッションの「椎間板(ついかんばん)」が何らかの外力により脱出することで腰の神経を圧迫し、腰痛やシビレを起こしているものをいいます。青壮年の方に多いですが、加齢により徐々に脱出する場合もあります。

主な原因は、スポーツでのケガや日常生活での急激な動作などにより発生します。急性になった場合は、絶対安静にしてコルセットしたり、症状によっては手術したりします。

症状が落ち着いたが、まだ腰痛やシビレがある慢性の腰椎椎間板ヘルニアであれば、鍼灸施術の適応となります。お灸も腰痛やシビレの改善に有効ですが、筋肉や神経を狙った電気鍼も症状改善にはおすすめです。

椎間関節性腰痛・変形性脊椎症

椎間関節性腰痛(ついかんかんせつせいようつう)・変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)は、どちらも背骨と背骨を繋いでいる関節部分で痛みを起こしている腰痛です。無理な動作により関節を痛めてしまったり、加齢により関節が変形して痛みを起こしてしまったりします。

このような関節の痛みは、マッサージすることはできません。そこで、関節の周りに鍼灸施術ができます。鍼灸施術には鎮痛作用がありますので、困っている方は鍼灸院で相談してみましょう。

梨状筋症候群

梨状筋(りじょうきん)はお尻にある筋肉で、この筋肉が硬くなることで坐骨神経を圧迫し、お尻の痛みや足のシビレが出ることで「梨状筋症候群」といわれます。よく「坐骨神経痛」とも呼ばれています。

長時間の座りすぎや立ちっぱなしなどにより、筋肉が疲労したり血流不足になったりして梨状筋は硬くなりやすいです。特に座っていると、お尻が痛んだり足がしびれたりすることが多いです。筋肉の血流改善には、鍼灸施術がとても効果的ですので、鍼灸院に足を運んでみてください。

鍼灸院と整形外科や整体院はどう違う?鍼灸院でできることと腰痛に効果的な鍼灸院の選び方

まとめ

今回の記事で、少し鍼灸院がどんな所かお分かりいただけたでしょうか?腰痛に対して、鍼灸施術はとても有効です。さらに、方法も色んな種類がありますので、その人に合った施術を提供してくれます。

医療機関に長い間通院していても、なかなか症状が改善しない場合は、一度鍼灸院に行ってみてください。

<参考文献>
〇「東洋医学臨床論〈はりきゅう編〉」 教科書執筆小委員会 医道の日本社

著者情報

腰痛メディア編集部
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