薬を飲んでも、マッサージをしてもなかなか良くならない腰痛に頭を悩ませてはいませんか?
腰痛を根本的に改善・軽減させるためには、治療だけではなく腰痛を悪化させないように身体を整えていくことも重要です。
具体的には、猫背などの姿勢を整える、運動をして筋肉をつける、ストレッチを行うなどですが、実は食べ物に気を配ることも腰痛悪化予防には効果的なのです。
今回は、【腰痛改善・悪化予防に効果的な食べ物】【腰痛に良くないこと】についてお伝えしていきます。
目次
腰痛と食べ物の関係
先に言っておくと、ある特定の食べ物を食べたからといって腰痛が治るということはありません。あくまでも、治療や運動の効果を上げるための補助的な役割を担うのが食べ物です。
食べる物に気を使うことによって期待できる効果は、
- 鎮痛効果を高める
- 筋肉増強(運動)の効率を高め、腰のサポート力を上げる
- 背骨を丈夫にし、腰痛予防
- 疲労を軽減し、腰へのストレスを緩和する 等です。
慢性腰痛の約8割は非特異的腰痛という検査上異常がなく、原因の特定できない腰痛です。
この非特異的腰痛は、背骨や骨盤が不安定な状態が続くことで生じるとされています。
非特異的腰痛を予防するためには、背骨や骨盤をしっかりと支えられるよう筋肉を強く、しなやかに付ける必要があります。もちろん、背骨・骨盤自体が丈夫であることも重要です。
腰痛の悪化予防・改善のためには筋肉と骨が重要であるわけですが、筋肉や骨は食べ物によってその質が左右されます。
腰痛改善・悪化予防に効果的な食べ物
筋肉を強くするサポートをする
- 肉、魚、大豆製品(納豆、豆腐等)、卵、乳製品 などのタンパク質を多く含む食べ物
- まぐろ、かつお、レバー、バナナ などのビタミンB6を多く含む食べ物
筋肉をつけるためには、運動と食事、睡眠が重要となります。
筋肉は主にタンパク質で構成されていますが、筋肉は運動により分解されるため、分解した筋肉を効果的に修復して筋肉を増強するためにはタンパク質を摂取する必要があります。
また、筋肉の活動の源となるのはグリコーゲン(糖)なので、タンパク質だけではなく糖質(炭水化物)も適度に摂取する必要があります。
糖質は様々な食品に含まれているので、意識して摂取しなくても大丈夫です。
タンパク質は、同時に脂質を多く含んでいる物が多いので、脂質も多量摂取して太ってしまうということが無いよう気をつけましょう。体重増加は腰痛の悪化要因になります。
タンパク質を多く含む食べ物は、肉、魚、大豆製品、卵、乳製品などです。特に、大豆製品(豆腐や納豆など)は、脂質が低くおすすめです。しかし、より吸収されやすいのは動物性のタンパク質(肉や卵)です。
タンパク質は約20種類のアミノ酸から構成されていますが、そのうち9種類は人体で合成することができず、必ず食べ物から摂取しなければからないアミノ酸です。(必須アミノ酸)
必須アミノ酸は、動物性タンパク質に多く含まれるものと植物性のタンパク質に多く含まれるものとがあり、バランスよく摂取するためには動物性タンパク質も植物性タンパク質も組み合わせて摂取する必要があります。
なお、ビタミンB6をタンパク質とあわせて摂取すると更に効果的です。ビタミンB6は、アミノ酸の代謝をサポートします。かつお、まぐろなどの魚類や、レバー、バナナなどに多く含まれています。
骨や軟骨を強くする
- いわし・しらす・煮干し等の小魚、乳製品、大豆、アーモンド などカルシウムを多く含む食べ物
- 煮干し、干しシイタケ、鮭、さんま、鰻、まぐろ などビタミンDを多く含む食べ物
- 納豆、小松菜・ほうれん草等の緑黄色野菜 などビタミンKを多く含む食べ物
骨密度が低下したり、軟骨成分が減少すると、腰痛が発生するリスクが高まります。
腰痛だけでなく骨折などのリスクも高めるため、骨を強く保つ食事をしていく必要があります。
骨を強くする栄養素として有名なのはカルシウムですが、ビタミンDやビタミンK、そのほかにはタンパク質も骨の形成のためには重要です。
また、海藻類や大豆製品、魚介類に多く含まれるマグネシウムや、レバーやあさり等に、多く含まれるビタミンB12も骨を丈夫にする効果があります。
加工食品に含まれるリン酸塩は、カルシウムの吸収を阻害します。カフェインはカルシウムを尿へ排出する作用があるため、加工食品やカフェインを含む飲み物の過剰摂取には気を付けましょう。
鎮痛効果のある食べ物
- さば、ぶり等DHAを多く含む食べ物
- さくらんぼ、いちご、ブラックベリー等のベリー類
- 生姜、カレー粉
さばやブリなどの青魚に多く含まれるDHAを含むオメガ3脂肪酸は、痛みを緩和させる効果が示唆されています。さくらんぼやいちごなどのチェリー類にも鎮痛剤と同じような鎮痛効果があるとして注目されています。
いずれも確実なエビデンスには至っていませんが、これから研究が進めばその効果が明確になるかもしれません。
生姜には抗炎症作用、鎮痛作用があり、インドでは古代から関節炎の治療に用いられていました。同じ生姜科のターメリックやウコンを含むカレー粉にも同様の効果が期待できます。
疲労を回復させる食べ物
- 豚肉、レバー、鰻、牡蠣、ひじき、海藻類などビタミンB1を多く含む食べ物
- しじみ・あさり等の貝類、豚肉、魚卵、小魚などビタミンB12を多く含む食べ物
検査上異常が見られない非特異的腰痛の多くは、腰の筋肉疲労やストレス原因であると考えられています。
身体やこころの疲れを取るためには、十分な休息をとることが重要です。
休息に加えて、疲労回復効果のある栄養素を積極的に摂取することで回復効果が高まります。ビタミンB1.ビタミンB12を多く含む豚肉などを積極的に摂取しましょう。
腰痛悪化予防・改善のために控えること
内臓に大きな負担がかかると腰痛を生じることがあります。
これは内臓の神経と腰や背中の神経が背骨でまとめられていることが関係しています。内臓の痛み・病変を脳が勘違いして腰にも痛みを感じる「関連痛」が生じることがあります。
また、暴飲暴食をし胃腸に負担をかけると背中の筋肉も緊張させてしまうこと(内臓体性反射)もあります。
暴飲暴食は胃腸に負担をかけ腰痛を誘発する可能性があるため控えましょう。
食べ過ぎは体重増加も引き起こします。体重の増加は、腰痛の要因です。
太り過ぎないためにも暴飲暴食はやめましょう。
また、前述の通り加工食品に含まれるリン酸塩や、カフェインはカルシウムの吸収を阻害し骨粗しょう症を引き起こすリスクを高めるため、過剰摂取しないよう注意が必要です。
まとめ
腰痛の悪化予防・改善のためには、薬や治療だけに頼らず、バランスよ良い食事を摂り、適度な運動を行なって十分な休息をとることが重要です。
食べ物だけに気を遣っても、ストレッチなどの腰痛体操や有酸素運動だけをしていても、あまり効果は得られません。食事・運動・休息のバランスが取れていることで、腰痛改善効果が高まるのです。
今回は食事面での、腰痛に効く食べ物をご紹介しました。紹介した物だけを食べるのではなく、バランスの良い食事を意識した上で、腰痛に効く食べ物を摂取して下さいね。
参考文献
日本スポーツ協会 アスリートの栄養摂取と食生活
鈴木志保子「スポーツ栄養マネジメント」日本医療企画 2011年
中本賀寿夫, and 徳山尚吾. “脳内長鎖脂肪酸受容体 GPR40/FFAR1 を介した新たな疼痛制御機構の可能性.” 日本薬理学雑誌146.6 (2015): 302-308.