サッカーは腰痛になりやすい?
サッカーは日本でもトップ5に入るほど人気を誇るスポーツです。
世界のサッカー人口は、バスケットボールに次ぐ第2位で、その人気はとどまることを知りません。
2018年に行われたワールドカップで日本がコロンビアを破り、決勝トーナメントに進んだことで記憶にある方も多いでしょう。
サッカーは、11人対11人で行う競技で、激しいぶつかり合いや点の取り合いで運動量が多いのが特徴です。運動量に伴い、怪我が発生しやすく腰痛で悩まされている方も少なくありません。
今回は、サッカーと腰痛の関係性を解説していきます。
目次
サッカーの競技特性について
サッカーのコートサイズは105m×68m(国際大会)で試合時間は前半後半で45分ずつ、合計90分あります。個人差はありますが、プロサッカー選手の平均走行距離は10km程とされており、持久力が必要とされるスポーツです。
試合によって消費されるカロリーは約1,000kcalで、この数値は成人男性が一日に必要とする摂取カロリーの約半分になります。サッカーは、蹴り上げる動作に伴い、片足で自身の体を支えなければいけないので、体幹や下半身の筋肉が必要とされます。
同時に同じコートで敵味方が入り乱れるため、状況判断をしながら移動する中で、瞬時にブレーキや方向転換を行える俊敏な動きも必要です。
また相手からボールを奪う際は、足と地面を平行にして滑らせてボールを奪いにいくスライディングタックルも時には行われ、ディフェンスの面では非常に有効な技ですが、危険を伴う動作になります。
またサッカーのルール上、キーパー(自身のゴールを守る人)以外はボールを手で触ることができないため、空中線はヘディング(頭でボールを扱う)によって争われます。
ボールがコート外に出てしまった場合は、スローイングといいボールをコート内に手で入れることが可能です。
一般的には上半身のみの動作ですが、ロングスローイングの場合は、全身をバネのようにして使うため、体に大きな負担がかかります。
サッカーは単純なスポーツのように思われますが、そこにはいくつもの相手との駆け引きがあり、相手をいかに騙してボールを相手に触らせないようにするという心理戦も行われています。
具体的には、
・フォワード(FW)は点を取る役目
・ミッドフィルダー(MF)は攻守の要となる重要な役目
・ディフェンダー(DF)は相手からの攻撃から守る役目
・ゴールキーパー(GK)は相手選手からゴールを守る役目
を担っています。
基本的な動作としては蹴るという単純な動作ですが、ポジションごとに役割が異なり、心理戦、スライディング、タックル、スローイングなどルールも様々で非常に複雑なスポーツであるといえます。
サッカーによる腰痛になる原因
サッカーという競技は、広いコートでボールを取り合うスポーツで持久力が必要とされます。
また、ボールを蹴り上げるためには片足で自身の体を支えなければいけないので、下半身・体感の強さを求められます。
他にもサッカーは、ボールの取り合いの駆け引きからブレーキ・方向転換など下半身の瞬発的な動作も求められます。
そのため、普段の姿勢が悪かったり、腰回りの柔軟性が悪かったりすると腰痛を発症しやすくなります。
また、体感や腰が強くないと自身の体を支えることができず、下半身や腰に大きな負担がかかります。
腰痛の他の原因として、サッカーは様々な体勢からボールを蹴ることや、ヘディングする機会があるため、しっかりと足をついて着地を取ることができないと大きな怪我に繋がります。
サッカーによる腰痛の症状
サッカーによる腰痛の原因は様々ですが、その中でも一番多いのが脊椎分離症(疲労骨折)になります。ボールを蹴ったときやオーバーワークなどにより、腰の骨に亀裂が入ることや折れてしまうことがある骨折です。
同じ動作を繰り返し行うことや体の一部に軽い衝撃が繰り返しかかることでひびが入り、悪化すると最悪骨折してしまいます。腰の痛みが1ヶ月以上続く場合は、疲労骨折が疑われるため、病院を受診することをおすすめします。
1ヶ月以上痛みが続くのにプレーを続けると慢性的な痛みに変わり、生活に支障をきたしてしまいます。
なかには自分が疲労骨折になっているとも知らずに、プレーを続けている選手も存在するため、注意が必要です。
特に学生のうちは、過度なランニングや練習が見受けられます。
そして、なかなか監督やコーチに言い出すことができず、症状が悪化して歩けなくなることもあるため、症状初期段階で病院へ受診するように心がけましょう。そして、腰痛の中でも特に気をつけなければいけないのが椎間板ヘルニアです。
これは、椎間板が突出し、下肢(股関節・膝関節・足関節)へ通ずる神経を圧迫することで、腰痛もしくは下肢痛となる疾患です。
一度椎間板ヘルニアになると症状が長期化して日常生活に支障をきたすため、注意が必要です。
椎間板ヘルニアは、坐骨神経痛(脚の痛みやしびれ)とも言われ、咳やくしゃみをすると激痛が走るほどつらいとされています。
椎間板ヘルニアに一度なってしまうと、自然治癒ではなかなか治りません。
最悪の場合を要し、時には、注射、薬物治療、装具療法、理学療法を用いて治療を行う場合もあります。
サッカーでの腰痛の対策方法・適切なトレーニング
サッカーでの腰痛改善方法は4つあります。
腰周囲筋の柔軟性を改善する
腰痛を抱えている多くの選手は、腹直筋・腸腰筋・腰方形筋・脊柱起立筋などの筋肉が衰えたことにより、腰への負担が大きくなり痛みを訴えます。
筋力の衰えを改善するためには、筋肉トレーニングが欠かせません。
しかし、腹筋と背筋どちらか一方を鍛えても腰椎を正常な位置に保てないため、両方鍛える必要があります。
腹直筋のトレーニングは、仰向けに寝て、両膝を立てます。
両手を膝頭に当て、息をゆっくり吐きながら状態を起こします。
状態を引き上げた状態で1〜2秒静止し、息を吸いながらゆっくり元に戻します。
これを5〜10回繰り返します。
脊柱起立筋のトレーニングは、うつ伏せになり、両肘を立てます。
息を吐きながらゆっくり肘を伸ばし、上体を起こします。
上体を起こしたら、5秒間キープし、息を吸いながらゆっくり元に戻します。これを5回繰り返します。
腸腰筋のストレッチの仕方
・床の上に仰向けになったら、左大腿をお腹に近づけるイメージで足を屈曲させます。
・左膝を両手で抱え込んだら、この体勢を20秒ほどキープします。このとき、背中が丸まらないよう、右足が床から浮かないよう注意しましょう。
・この動作を1セットとし、5セットを目安におこないます。左腸腰筋を終えたら、右も同様にストレッチしましょう。
体幹の筋力をあげる
両足の筋力のアンバランスさや体幹の筋力不足が原因で腰痛になります。サッカー経験者は、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を多く使うため発達しています。
その分、この筋肉を激しく使うため体幹に異常が起こっている場合があります。それらを改善するには、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)と大殿筋(お尻の筋肉)のトレーニングが必要です。
また、足を体に引き寄せることが多いスポーツなので股関節内転筋が発達していて、逆に外転筋(中・小殿筋)は筋肉が不足しています。外転筋は、ボールを片足で蹴る際に重要とされる筋肉のため、鍛えておきましょう。
ハムストリングスと大殿筋のトレーニングは、仰向けになり足を腰幅くらい広げてかかとを床につけます。膝から胸が一直線になるようにお尻をあげ、キープもしくは上下動します。
これを30秒〜1分キープします。
外転筋のトレーニングは、床に膝を付けて体を横に向けた状態にし、尻を上げ体をまっすぐの状態にし、体勢を整えます。尻を下に下げ、ゆっくり持ち上げます。これを繰り返します。
腰痛への理解
腰痛になった原因を調査せず、「病院に通えば治る」「腰痛改善グッズを買えば治る」と考えるのはやめましょう。短期的な改善は見込めるかもしれませんが、再発を起こしてしまう可能性が高いです。
まずはあなた自身の体の状態を理解し、長期的な目で見て腰痛にならないようにしましょう。
腰痛が深刻な場合は、理学療法士に基づいた運動療法を取り入れることにより、通常よりも効果的に治療することが可能です。
日頃のケア
腰痛を改善する・ならないために日頃のケアを徹底しましょう。腰痛が生じやすい行為(中腰での作業、重い荷物を持つ、長時間の座位)は避けましょう。そして、サッカー練習前・練習後は、ストレッチや筋膜リリースなどで、ウォーミングアップやクールダウンを必ず行いましょう。
👉腰痛改善ストレッチ15選│予防におすすめの筋トレ5選も
また、腰痛持ちも方は腰痛体操や有酸素運動などを同時に行い、身体機能の向上を図っていきましょう。数々のスポーツ選手が、ストレッチやウォーミングアップを怠ったことにより怪我を生じ、引退ということは数え切れないほどあります。日頃のケアを軽視せず、未然に怪我を防ぎましょう。
まずは、自動問診、腰痛ドクターアプリを使用してあなたの腰痛の原因を探りましょう。
参考文献
サッカー選手・指導者に必要なケガの知識|山形徳洲会病院 整形外科
サッカーの競技特性を考えてみる
サッカー1試合でどのぐらいのカロリーを消費している?
サッカーのポジション一覧!それぞれの名前や役割を詳しく解説!
腰痛予防・改善に体幹トレーニングでローカル筋を鍛えてみよう
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