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危険な腰痛、注意すべき腰痛
腰の痛み、、、気になりますよね。
日常生活でも腰痛を自覚する場面は多く、国民病とも言われるほど、多くの人が経験する症状でもあります。
そのような身近な疾患とも言える腰痛ですが、診療の場面では「単なる腰痛」では済まされない場合もあります。
しかし、多くの方にとって「腰痛」は身近な症状すぎて、なかなか受診に結びつけることがないのが現状です。
腰の痛みくらいで受診するのは気がひける、大したことないから自分でなんとかしよう、、このように考えたことはありませんか。
しかし、その腰痛には重大な病気が隠れている可能性があるとしたら。
今回はこのような危険な腰痛について、お伝えしたいと思います。
今現在長引く腰痛を抱えている方は、自分の体についてよく観察するきっかけにしていただけたら、と思います。
【長引く腰痛に注意!】重大な病気のサインかも
一般的に慢性的な腰痛が湿布や外用薬でも改善しない場合は注意が必要かもしれません。
慢性的な腰痛とは3カ月以上症状は改善しない場合を指します。
病院では、長引く腰痛を主訴に受診される患者さんがいた場合、念のためCTなどの画像診断に回すことが多くあります。
たかが腰痛でこんなにいろいろな検査をするなんて、と思うかもしれません。
しかしこの時、医師が可能性として考えているのは「なんらかの内臓疾患」
見た目ではわからない重大な病気が隠れていないかどうか、さまざまな検査から総合的に判断するために行います。
その中でも重大な病気をあげるとしたら、腫瘍=がん。
癌かどうかの判別は非常に重要であり、そのために詳しい画像検査を行います。
患者さんの立場からすると、腰痛で受診しただけなのに大げさな検査をするということに疑問を抱くこともあるかもしれません。
しかし実際、腰痛から重大な病気が見つかる可能性がある以上、詳しい検査を行う必要があるのです。
結果、疑わしいものがあった場合はさらに血液検査や内視鏡、専門医の診察へと診療が進みます。
多くの場合、消化器内科や婦人科、腎臓内科などで詳しい検査をすることになります。
中でも胃がん十二指腸がん、大腸癌などは臓器の部位から、背中側の筋肉や骨に浸潤した場合、腰痛から気づくことも多いため、発見次第治療を考える必要があります。
女性の場合は婦人科領域の病気の発見にもつながりますので、腰痛は「重大な病気のサインかもしれない」ということを覚えておいてください。
このような場合は要注意!危険な腰痛とは?
それではどのような場合注意する腰痛と考えたらよいのでしょうか。
代表的な症状はこちらです。
・安静時にも腰痛が悪化する
・体の動きに関係なく痛む
・発熱、めまい、体重減少
・痺れ、感覚麻痺
もしも現在このような症状をお持ちの場合、まずは一度受診されることをお勧めします。
腰痛で気づく疾患【こんな事例も】
長引く腰痛を抱えた患者さんの中には実際にこのような事例もありました。
ある時やってきた患者さん40代の女性の方ですが、症状は半年ほど続く腰痛でした。ご自身の意思ではなく周囲に勧められての受診だったようです。
まず受診したのは総合病院の整形外科。
問診や症状などから整形外科領域の腰痛だけではないと判断した整形外科医が いくつかの検査を勧めました。
その結果、消化器内科にも受診することになり、すぐに胃カメラ検査が行われたのです。
内視鏡検査にやってきたその女性はかなり不満げでしたが、渋々胃カメラを受けることに。
そして、CTや血液検査、胃カメラの結果を総合的に判断した結果、診断は「胃がん」だったのです。
この方の場合自覚症状は腰の痛みだけということもあり、病院受診には至らなかったようです。
しかも、毎年の健診では「異常なし」。
このことも受診が必要ないと考えた原因だったそうです。
このように、腰痛で受診される方の中には、治療が必要な疾病を抱えている方がいるのです。
そして、もしも健診や人間ドックの機会があるならば、気になる症状があれば正しく申告する事も必要です。
自己判断では「大したことがないから」とか「病気には関係ないだろう」と思うような症状であっても、そこから詳しい検査につながり早期の治療が叶う場合もあります。
繰り返しになりますが、「自己判断で腰痛は軽視するべきではない」のです。
自分の体と向き合って「長引く腰痛は必ず受診を」
このように、腰痛には重大な病気が潜んでいる場合があります。
いずれにせよ自分の腰痛や自分の体をしっかりと見つめ、正しい状態を早めに知ることが、重大な病気を見逃さない第一歩につながります。
たかが腰痛されど腰痛、ということが実際にあり得るため、自己判断に迷ったら専門家に相談してください。
特に、自分で対応しても腰痛がなかなか良くならない方、長期間にわたって慢性腰痛を抱えている方、忙しくてなかなか受診に行けない方こそ、自分だけで判断することは避けた方が良いでしょう。
専門家以外の助言やネット上の情報は参考程度にしかなりません。
「すぐに受診ができない」という場合でも、ネット上の情報を利用する場合は、正しい知識や根拠に基づいたサイトやアプリを利用するようにしてください。
今回は、慢性的な腰痛に潜む重大な病気についてお伝えしました。
病院受診や便利なツールも上手に使いながら「自分の腰痛がどのようなものか」をまずは正しく知り、治療が必要な症状や病気を見落とさない、というきっかけにしていただけたらと思います。