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十分な睡眠時間を確保しても、起床後に腰が痛いと、せっかくの目覚めも台無しですよね。睡眠の質は生活の質(QOL)に直結するので、快適な睡眠は「現代社会を乗り切る鍵」といっても過言ではありません。

この記事では、腰痛もちの方のために、腰痛と睡眠の関係について解説しています。

特に睡眠中の姿勢と腰痛の関係には深いものがあります。なかには「横向きじゃないと寝られない」「うつ伏せ寝がいい」など、お気に入りの姿勢でないと寝付けない方もいるかと思います。しかし、その睡眠姿勢が腰痛を引き起こす原因かもしれないのです。

本記事を読んでいただければ、それぞれの睡眠姿勢ごとの腰痛対策を理解できます。いずれも、今夜から実践しやすい内容になっているので、ぜひ参考にしていただきたいです。

腰痛もちにおすすめの睡眠姿勢

朝に起床したときの、「寝起き腰痛」を防ぐために大切なこと、それは「睡眠中の姿勢」です。ぐっすり寝ている間は気付かなくても、腰に負担のかかる姿勢で寝ていることも多々あります。

睡眠姿勢には「仰向け」「横向き」「うつ伏せ」の3パターンがあります。ここでは、睡眠姿勢ごとに、具体的な腰痛対策を解説したいと思います。

仰向け

仰向けで寝ると、背中全体がマットレスに接するため、接触面積が大きい分、腰への負担を分散する効果があります。そのため、3パターンある睡眠姿勢のうち、最も腰への負担が少ない姿勢ということができます。

しかし、仰向け寝にも欠点があります。それは、「骨盤が下へ引っ張られやすい」ことです。人間の腰は、緩やかなS字カーブを描くのが自然な形ですが、仰向け状態では、足を伸展させながらの睡眠姿勢になりがちです。そのため、骨盤も下へ引っ張られることで、伸展しがちのため、腰痛になりやすいのです。「普段から仰向けで寝ているけど腰が痛い」という方は、足を伸ばしながら寝ていませんか?

対策としては、足が伸展しすぎないよう、適度に屈曲させながら寝ることです。寝入るまでは足の屈曲を意識できますが、無意識には難しいと思います。そこで、おすすめの方法は「膝下にクッションを入れる」ことです。この方法なら、寝てからでも足を適度に屈曲でき、腰のS字カーブも保つことが可能です。

仰向け派の方は、足の屈曲を意識して睡眠してみて下さい。

横向き

横向き寝は、マットレスへの接触面積小さいため、不安定な睡眠姿勢になりがちです。よって、姿勢を保つためにカラダに余計な力が入りやすく、筋肉を披露させる原因になります。

また、接触面積が小さいことは体重の分散効果を弱めてしまうため、腰一点に負担がかかりがちです。

横向きで寝たい場合は、エビのように少し丸まることで、姿勢の安定化が図れます。また、足が適度に屈曲することで、骨盤も伸展しにくくなるため、腰のカーブを保つ効果もあります。

抱き枕のようなクッションを使用すれば、自然に丸くなれるメリットがあります。横向き派の方は、お気に入りの抱き枕を探してみてはいかがでしょうか。

うつ伏せ

うつ伏せは、3パターンの中で腰への負担が最も大きい睡眠姿勢です。うつ伏せで寝ると、腰が伸展を通り越して、反り返りがちです。これに伴って、腰への負担も大きくなってしまいます。

また、うつ伏せ状態は首への負担にもなります。寝起きに首が痛む「寝違え」を経験した方もいるかと思いますが、不自然な頭の姿勢は、頚椎疾患の原因にもなるのです。

よって、腰痛もちの方には、長時間のうつぶせ寝はあまりオススメできません。寝返りの過程で一時的にうつ伏せになる程度ならよいですが、一晩中のうつ伏せ寝は腰へ多大な負担をかけてしまいます。

睡眠後の腰痛は寝返りの回数とも関係が深い

いくら正しい睡眠姿勢だからといって、ずっと同じ姿勢で寝ることはよくありません。寝返りが少ないと、カラダの一か所に体重がのってしまいます。これが続くと、血流障害を引き起こし、筋肉の痛みを惹起するのです。

そのため、睡眠中は寝返りの回数が大切です。人間は一晩で、平均20回ほど寝返りをうつのが正常とされます。「寝返りしやすい環境」を整えることが、腰痛の対策にもつながるのです。

ここでは、「心地よく寝返りをうつ」ために大切な3つのポイントをお伝えします。

適度な硬さのマットレスが寝返りを助けてくれる

「睡眠の質=マットレス」と考える方も多いと思いますが、マットレスの硬さは寝返りにおいても大切な役割を果たします。

柔らかすぎるマットレスは、一見すると腰への負担が少なくなりそうですが、寝返りにとってはマイナス要素になります。柔らかすぎるマットレス上で寝返りをするには、体幹の力が必要です。ときには、腰をひねりながら寝返りする場合もあり、寝返るたびに腰に負担を与えがちです。

寝返りを第一に考えるのであれば、適度に硬い「高反発マットレス」がおすすめです。

実は枕も寝返りには大切

意外かもしれませんが、枕を換えることで腰痛が改善されることがあります。

特に、腰痛もちの方におすすめの枕は、「硬め」で「広い」形状のものです。

寝返りをうつには、マットレスだけでなく、枕も硬めの方が適しています。加えて、枕の幅が頭3つ分ほどあれば、余裕をもって寝返りをうつことができるのです。

具体的な材質としては、ウレタン製や低反発性の枕は柔らかすぎるため、あまりおすすめできません。そば殻・ラテックス製で、幅広の枕を選択するとよいでしょう。

就寝前のストレッチも腰痛対策になる

スポーツ前に準備体操をするように、寝返りをうつためにもストレッチや腰痛体操は大切です。

睡眠中の寝返りは無意識化でおこなうため、眠ってからではストレッチができません。なので、就寝前に寝返りの予行演習をおこなうことが大切です。

具体的な就寝前のストレッチ方法の一例をご説明します。

1.ベッドに仰向けになったら、軽く膝を曲げたまま、ゆっくりと体全体で左横向きになる。
2.左横向きの状態から、ゆっくり仰向けに戻ったら、今度は右横向きになる。
3.また、ゆっくり仰向けに戻る
4.1から3を数回繰り返す

今晩から気軽に試せると思うので、スムースな寝返りのためにも実践してみて下さい。

まとめ:睡眠後の腰痛は正しい睡眠姿勢と寝返りで対策可能

今回の記事では、睡眠と腰痛の関係について解説してきました。

起床後の腰痛を予防するには、睡眠中の姿勢が大切でしたね。腰への負担が少ない姿勢としては「膝下にクッションを入れた仰向け寝」が理想的ですが、「お気に入りの姿勢でしか眠れない」読者の方も多いと思います。

そのようなときは、「寝返りをうちやすい環境」を意識して下さい。入眠時の姿勢が、横向きやうつ伏せでも、睡眠中に寝返りをうつことで腰への負担を軽減できます。寝返りに適したマットレス・枕を選んだり、就寝前にストレッチや腰痛対応をしたり、工夫できる点はたくさんあります。自分なりの腰痛対策を見つけるのも、面白そうですね。

睡眠の質は、生活の質に直結します。睡眠時の腰痛を予防して、快適な生活を送れるといいですね。

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

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著者情報

広下若葉
広下若葉

保持資格

医師国家資格・麻酔科標榜医

経歴

2015年:医師国家資格 取得

2017年:初期臨床研修プログラム 修了

2020年:麻酔科標榜医 取得

    麻酔科専門研修プログラム 修了

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