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睡眠時、腰痛になりにくいのはどのような体制でしょうか。それははずばり仰向けです。

これは睡眠時に腰に負担がかかってしまうリスクが一番少ないとされているからです。腰痛の8割が原因不明とされている昨今ですが、実は日常生活のふとしたところが癖になり腰痛につながっている可能性があります。

とくに休息をとるのに欠かすことのできない睡眠は、寝方次第で腰痛の原因になってしまいます。十分な休息に6~8時間程度の睡眠が好ましいとされていますが、長時間どんな体勢でいるが望ましいのでしょうか。

ここでは仰向けが腰痛になりにくい理由、仰向け以外が腰痛になりやすい理由、仰向けを維持するために効果的な寝具の選び方などをお伝えしていきます。

仰向けが腰痛になりにくい理由

この理由は2点挙げられます。

血行を妨げにくいから

仰向けは寝ているときに体重が均等に分散されやすく、結構の妨げになりにくいです。

仰向けで寝ている体勢は立っているときと比べ腰への負担は4分の1になります。硬めの敷布団は腰が痛くなりやすいとされていますが、実は寝返りを打つときに柔らかいものと比べて寝返りがしやすいため効果的とされています。

また、寝返り自体に背骨や腰の疲労解消に効果があります。骨盤付近の関節にも適度な刺激が加わることも腰痛の軽減する効果があると考えられています。

よく寝返りが多いと寝相が悪いといわれますが、実は腰にはとてもいい効果をもたらしているのです。幼少期は体幹がしっかりしており、ねじれもないため寝返りが多いですが、大人になるにつれて日常生活での動作や心理的・社会的要因で気が付いたら体幹が崩れ、ねじれも生じるため腰痛になっていることがほとんどです。

腰痛に効果的な寝返りを打つために、あまりに硬すぎる敷布団は好ましくありませんが、仰向けに寝た際に腰の沈みこみが3cm程度の硬さがベストとされています。

体のねじれが少ないから

仰向けは脊椎が自然なS字カーブになっており、背骨も真っ直ぐになっています。

さらに膝の下にクッションを置き、股関節と膝関節を軽く曲げた状態にすると腰の筋肉が和らぐため効果的です。ここでいくら仰向けの状態でいても顔を横向きにしたり、足を組んでいたりしては意味がありません。捻じれた体勢は体に歪みを生じてしまうため腰痛になりやすいです。

ただ睡眠中ずっと同じ体勢でいることや、意識して寝返りすることは極めて困難なため、せめて睡眠するまでの時間にねじれのない状態でいることを心がけましょう。

仰向け以外が腰痛になりやすい理由

ねじれた状態になるから

仰向け以外の寝方はねじれが生じてしまいます。横向きではねじれた状態で睡眠をとることは左右の足が離れてしまうため、股関節や骨盤まわりの筋肉が左右不均等に引っ張られます。そうなると腰椎から骨盤の歪みが大きくなり腰痛を引き起こすのです。

うつ伏せではおなかが床に密着するため、脊椎が下がり、からだが反ったかたちになります。また顔を左右のどちらかに向けなければならないため、常にねじれた状態になってしまいます。

そうなると横向きと一緒でねじれた部位を補おうと筋肉が引っ張られた状態になり、さらに睡眠中はその体勢でいなければならないため、緊張状態のまま筋肉が硬くなってしまいます。それが腰痛を引き起こす原因になってしまいます。

また、背中や首の後ろの筋肉が圧迫されることで血行不良になってしまうため、腰痛を引き起こす可能性が高いです。

ちなみに、寝ているときに足を四の字にしてしまっている人は、腰が悪いからだと言われています。気が付いたら足を四の字にしているなら、生活習慣を改めたり、ストレッチをするなどの対策を行いましょう。

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歪みそのものは腰痛の原因ではない

歪みそのものが腰痛の原因でありません。

歪みによって重心のバランスが保てなくなり、それを補おうとして別の部位に歪みが生じていく連鎖で元の状態に戻らなくなることで腰痛が生じます。わかりやすく例を挙げるとするなら上半身は右向き、下半身は左向きをキープするとしましょう。

この状態で軸を左右どちらかにすることは極めて困難です。重心バランスが崩れて体全体の軸がなくなり、腰に負担がかかってしまうために腰痛が引き起こされてしまいます。

どうしても仰向けが苦手、困難の方は少し工夫をしてみましょう。ここでしてはいけないことは体をねじる体勢を避けることです。

横向きの場合は膝を軽く曲げ、仰向けで寝るときより少し高めの枕を使用しましょう。横向きでも両足を閉じてキープしておけばねじれがなくなります。ここでも仰向けのときと同じように股関節と膝関節を軽く曲げましょう。

書面からみて脊柱がまっすぐになるように床側のお腹の下にタオルを入れるのもいいです。うつ伏せの場合はお腹の下にタオルなどをいれて腰が反らないようにしましょう。

寝具の選び方

正しい姿勢で7~8時間の睡眠をとることは極めて困難といえます。ただ背骨の自然なカーブが保てるように寝具選びは大切です。寝具選びで重要なことは寝返りが打ちやすいこと、脊椎のS字カーブを邪魔しないことです。

最近では低反発など柔らかく、自分の体にフィットするようになっていますが、とくに圧がかかりやすい腰からおしりはどうしても重たい分、深く沈んでしまいます。そうなると寝返りを打ちにくくなり、睡眠時の長時間の同じ体勢は腰に負担がかかるだけでなく、血液循環が悪化してしまいます。

どんな体勢でも圧が均等になる敷布団を選びましょう。また掛布団にも注意が必要です。いくら敷布団をいいものに変えても、掛布団をたくさんかけたり、重すぎたりすると寝返りを妨げる可能性が起こってしまうためです。掛布団は温度調節以外にも、寝返りの妨げにならないものを選びましょう。

結論

睡眠時に腰痛になってしまう原因として「からだのねじれや歪み」「反り返り」「血行不良」があげられます。

それらを回避できる仰向けは骨盤と肩が平行になり、背筋もまっすぐな状態になっているため腰への負担が少ないです。また圧が均等になることで血行不良を防ぐことができます。

ただ、睡眠中に仰向けを維持するのではなく、骨盤や筋肉への適度な刺激を与えることによって筋肉を疲労させず、血行滞留させないために寝返りも必要です。そのためには体全体が沈み込むようなものではなく、寝返りがしやすい少し硬めの敷布団を選ぶことも重要です。

出典:
川井太郎著(2015年7月)『腰痛が治るのはどっち?』株式会社学研パブリッシング
酒井慎太郎著(2020年9月)『新しい腰痛の教科書』幻冬舎
廣戸聡一著(2015年6月)『画像ではわからない しつこい腰の痛みを治す本』『4スタンス理論で腰痛は9割治る!』株式会社日本文芸社
久野木順一著(2017年2月)『図解 専門医が教えてくれる!腰痛を自分で治す!最新治療と予防法』株式会社日東書院本院
手塚正樹著(2016年6月)『ウルトラ図解 くび・肩・背中の痛み 不快な症状をもとから治す、知識と治療』株式会社法研

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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