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腰痛で悩みを抱えている方は、町の診療所や総合病院の整形外科を受診されることが多いと思います。ちなみに、私も腰痛の悩みを抱えている一人です。まず病院の診察室へ入ると医師が問診を行い、その後すぐ「今日は腰痛があるようなので、腰のレントゲンを撮りましょう。」などと言われることがほとんどだと思います。
また、腰椎圧迫骨折や腰椎椎間板ヘルニアなどを疑う場合、精査のため腰部CTや腰部MRIを撮ってみましょうと提案されることがあります。これらの画像検査は保険適用ではありますが、思っている以上に費用のかかる検査であるため、医師からの十分な説明を聞き、必要性を納得した上で検査を受けるべきだと思います。
患者様にとって満足な検査や治療の選択ができるよう、検査にかかる費用に関しても知っておいてもらいたいので参考にして下さい。

病院でかかる費用(診療報酬)とは

病院で行われた医療行為の対価として、支払われるお金です。

患者様それぞれに実施した診断・検査・投薬・治療などの医療行為を点数表に従って点数換算し、算出した総計点数に診療単価の10円を掛け算した金額が、患者様の支払われる診療報酬の金額になります。
病院の医療事務が、診療報酬点数表というものを使用して計算を行っています。しかし、保険証を提示すれば会計窓口での負担割合は、加入している保険の種類や年齢等にもよりますが、3割負担の患者様の場合は0.3を掛け算した金額になります。

文章にすると難しいかもしれないので、後で実際に例を示して計算式と実際の負担額をみてもらいたいと思います。

腰痛のある患者様に行われる主な検査と検査でわかること

レントゲン(単純X線撮影)

放射線を使用します。短時間での検査が可能で、被曝量は最小限で済みます。検査では、骨折や骨の変形がわかります。

CT(コンピュータ断層撮影)

放射線を使用します。検査時間は比較的短時間です。しかし、病院にもよりますが、後日予約を取って別日に検査となることもあります。被曝量はレントゲンより遥かに多いです。検査では、レントゲンよりも細かく骨折や骨の変形がわかります。

MRI(核磁気共鳴画像法)

強力な磁力と電波を使用します。検査時間は20~30分程度かかります。レントゲンやCTとは違い被曝することはありません。しかし、磁場を用いた検査になりますので、ペースメーカー等の金属が体の中にある患者様は撮影できない場合があります。
また、閉所恐怖症や腰痛で長時間検査台に寝ることが難しい患者様は、検査を受けることができない場合があります。検査では、神経や軟骨、筋などがわかります。

腰痛の検査でそれぞれかかる診療報酬点数

・レントゲン(X線撮影)  57点

3割負担患者様の場合

(57点 × 10円) × 0.3 = 171円

万が一、保険証を忘れてしまった場合

(57点 × 10円) = 1,710円

・CT(コンピュータ断層撮影)  1,020点

3割負担患者様の場合

(1,020点 × 10円) × 0.3 = 3,060円

万が一、保険証を忘れてしまった場合

(1,020点 × 10円) = 10,200円

・MRI(核磁気共鳴画像法)  1,620点

3割負担患者様の場合

(1,620点 × 10円) × 0.3 = 4,860円

万が一、保険証を忘れてしまった場合

(1,620点 × 10円) = 16,200円

上記は単純にその検査だけをした場合の診療報酬の一例でしかありません。同じ検査であっても、検査を行う施設や検査機械の性能・機種、薬剤を同時に使用するなどにより診療報酬点数は変わってきます。
しかし、精密検査と呼ばれるCTやMRIは負担額が大きいことは一目瞭然です。万が一にも保険証を忘れてしまった場合は、患者様の窓口負担額はさらに大きくなるため注意して下さい。

医師から十分な説明を受けて、検査や治療を受けるべき

腰痛の原因として腰椎圧迫骨折や腰椎椎間板ヘルニアなど様々な疾患が考えられます。疑われる疾患によって必要な検査は異なり、治療を行う上で必ず必要な検査などもあったりします。例えば、腰痛の原因に対して手術を受けるのであれば、手術前に正確な腰の画像情報が必要であるため、必ず腰部のCTやMRI撮影を行います。

自分自身が医師からの説明を聞き、納得した上で検査や治療が行われるのであれば、費用がかかったとしても満足がいくと思います。不要な検査であれば自らにメリットはなく、費用がかかっただけで満足のいく結果が得られず、何のために病院で時間やお金を費やしたのだろうという後悔だけが残ってしまう場合もあるので注意して下さい。

私が実際に総合病院の整形外来で勤務していた際、患者様が精密検査を終えて後日検査結果を聞きに病院へ来られた時に「先生。前回のお会計は中々高かったです。」とおっしゃる方も度々おられました。場合によっては、患者様と医師の間でトラブルが起き、治療の妨げになってしまう場合もあるかもしれません。
医師よって提示された検査や治療方法は、必ず内容を理解した上で必要な検査を受け、最善な治療を受けて頂きたいです。また、費用に関しても訪ねてみるとよいかと思います。

まとめ

病院で腰痛の検査・治療を受けられる場合、保険適用はされますので負担費用が大きいと感じない患者様もおられるかもしれませんが、思っている以上に検査には費用がかかると覚えておいて下さい。医師から言われたので、よくわからないまま言われた検査を受けるとういことは避けるべきではないかと思います。
検査以外にも、初診・再診費用、投薬(薬の処方)費用、リハビリ費用などと言った費用もかかってくるため、何も考えず言われた検査を受けるなどしていると予想以上の出費になる場合もあるかと思います。リハビリでは腰痛体操やストレッチ、筋力トレーニングなどの運動療法の指導や、電気治療などの物理療法を行ってくれますので、医師の処方が出た際には受けるようにしましょう。

医師は治療方法や必要な検査等には知識が豊富ですが、それぞれの検査にどれほどの費用がかかるかということまで把握できていないことも多いと思います。もし詳しい費用に関して知りたい場合は、病院の医事会計に相談するとすぐに概算をして回答してもらえるため、相談してみるのもよいと思います。

医師とコミュニケーションを取り、今ある腰痛で考えられる疾患は何か、疑われる疾患を特定するために必要な検査は何か、検査を受けた後にどのような治療方法があるのか、費用が多くかかるため仮に進められた検査を受けなかった場合は、どのような治療の選択肢があるのかなど、医師と一緒に最善の方法を考え、腰痛で悩んでおられる方が満足のいく検査や治療が受けられるよう願っています。

参考文献:小野 章,診療点数早見表[2020年4月版],医学通信社,2020年4月22日発行
参考:日本整形外科学会

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腰痛メディア編集部
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